秋川渓谷の滝 滝の地学記録カード    HPトップへもどる 
 <趣旨> ・・・工事中
 <もくじ> ・・・工事中、 まだ行ってない滝もたくさんあります。

というか、行ける滝だけですね。全滝制覇とかそんなことは趣旨じゃないので。
 北秋川小岩 花水滝
    滝之丞氏提供   
 
平井川 タルクボ沢 白岩滝 (工事中 051018追加)
盆掘川 逆川 金剛滝
盆掘川 本流 盆掘大滝
秋川本流 中山の滝(工事中)
北秋川 払沢川 払沢滝
北秋川 茅倉沢 茅倉滝
北秋川 千足沢 天狗滝 綾滝
北秋川 神戸沢 神戸岩の滝
北秋川 小岩   花水滝
南秋川 本流   吉祥寺滝
南秋川 ハチザス沢 九頭龍滝
南秋川 三頭沢 夢の滝、三頭大滝
南秋川 何沢  雨乞滝
南秋川 何沢  竜神滝
地形図は、2.5万地形図による
地質は、東京と発行 「」の区分による。
文中の図は、滝おやじ作図。無許可複製不可です。
 白岩の滝 瀑布帯  ・・・・051123に滝の高さを再測。 051218文章と図を訂正しました。・・・まだ全部できてません。(-_-;)

 秋川の支流、平井川の支流、タルクボ沢にある支流型の遷急区間です。
 東京都日の出町大久野松尾 所在

左から、
 本滝1 雨乞滝 2連8+6=14m


 本滝2 白岩滝 2連9+3=13m


 上滝2 無名 2連2+5+2=9m


 観光化された有名な滝らしいのですが・・・
<何がどこにあるのか、すごーく分かりませんでした> 
それを順に引用しつつ紹介します。 「・・・・」は中略部分です。

1.小澤洋三:『東京の滝』 1993 による。
 「平井川の源流に「白岩の滝」がかかる。・・・・「白岩の滝」に着く。三段に及ぶナメ状の滝が迎えてくれる。」 (写真はありません)
2.道路地図を見ると、滝の注記がありました。簡単にいけるみたいですね。
3.2.5万地形図「」でも、滝の記号を確認
・・・・ここまでは快調。

4.手持ちの滝の本をあけてみました。・・・・ここから迷路化する。
 文中の、本滝1,2 上滝2は、私が瀑布帯の構成を見てつけた滝名。

A.竹内敏信他:『日本の滝1000 和みの滝』 2001 によると
「白岩の滝 落下型:分岐瀑 落差/40メートル ・・・幅8メートル、落差40メートルを誇る大瀑で、3段の岩の上を日差しを受け、ギラギラと輝きながら落ちていく姿は・・・」ということ。 写真は、本滝1がでています。
B.木田薫:『日本滝名鑑4000』 2005 によると  
「白岩の滝 H上4+1m 中1+5+4m 下10+8m W0.5-1m 沢滝/滑落 雨乞いの滝として古くから知られた滝。延長100mの間に三つの滝がある。最下段の中間に不動明王が祀られる祠がある。・・・・」 写真は、本滝1が出ています。
W(幅)0.5-1というのは、写真からみて、行かれた時には、水が少なく、本滝1の下段は上の図の右の細い水流しか流れていなかったために、W(幅)0.5-1mとされたものと思われます。
C.北中康文:『日本の滝1 東日本661滝』 2004によると
「白岩の滝 落差15m 段瀑 ・・・・タルクボ沢が3段に分かれて白水を垂らす。特に下段の滝は幅を広げながら優美な流身をかける。・・・」
写真は、本滝1がでています。

 結果は、・・・なんだこりゃ、違いすぎ。
 3段(Aだと、40mの階瀑みたいだし、B・Cだと、3連の連瀑で高さは?ということでしょうか)あって、写真の滝は最下段の滝らしいというぐらいですね。
 この時点で、現地で見ないと、分かりませんということになりました。
 
 <惑わせる看板により、五里霧中となる>

遊歩道入口に、最初の看板がありました。

文面です。
「白岩の滝 白岩の滝は、2段になっており、比高は上位の滝が約3メートル、下位の滝が12メートルである。途中にあるテラスは延長約7メートルであるが、雨乞いの滝とは異なり、滝壺は無い。
 下位の滝の前面には、一辺が11メートル前後で、正方形に近い広い岩棚が形成されている。
 滝の直下には、幅1.2〜1.3メートルで、長さ約2.5メートルの滝壺があり、深さは1.2メートル前後となっている。これらの滝および付近の地質は、すべて中粒砂岩である。「文化財通史篇上巻より」
日の出町観光協会 ←(ここから白岩の滝まで徒歩3分)」

・・・なるほど。徒歩3分いくと、滝があるのね。3段と聞いたが、2段で15mとは?。

というわけで、行ってみると、白岩の滝という標柱の立っている滝があって、滝の本3冊に写真の載っている2連の滝です。合計15mぐらいかも。
 
しかし、どうみても、看板にあるような、3mと12mには見えません。また、滝前面の岩棚もありません。 
 迷った末に、後日わかった結論からいうと、
 看板と標柱は、「白岩滝は、滝群の総称で、雨乞淵のある滝を雨乞の滝ともいう」という、健全な考えでできていて、大きな滝が3つあり、「白岩滝上段、中段、下段」という認識なようです。これを通念とします。徒歩3分の滝は、白岩滝下段に当るから、白岩滝の標柱も立っていることになります。
しかし、日の出町史やHPの考えは大きな滝が2つあり、雨乞滝と白岩滝というとして、紹介しています。ちょっと、考えが違うわけ。
 そこを、観光協会が、ごっちゃにしてしまったわけです

 この看板の文面にある滝の記述は、町史の文章の写しですが、通念の「白岩滝中段」、町史の「狭義の白岩滝」の説明なんですよね。
 徒歩3分の滝は、通念の「白岩滝下段」、町史でいうと「雨乞滝」ですので、当然、合うわきゃない。

というか、看板の位置からいって、遊歩道最初の位置にあり、かつ、他郷の人相手の説明板なのだから、遊歩道沿いにある滝の全貌の紹介をすべきですよね。「滝が3つあって・・・・雨乞の滝は・・・白岩の滝は・・・・。地図はこれです。」みたいな。
 こんな、現場に行かなければ意味の無い解説板・・・実は、単なる記載で地学的に意味が無いんだけど・・・は、滝の前に立てるべきでしょう。 
 ● 次に現れる看板


遊歩道入口に立っている。かなり消えかけている地図

滝?が4つ描かれている。
下から2つ目に、「雨乞淵」 とあり、
「白岩不動尊に詣でて 昔、夏の日照りが異常に続くと、広く三多摩全域の農家の方は雨乞祈願に来られて、この滝のお水の御頒布を受けたものです」とあります。

その下の2箇所のかすれた所は、読めません。

これも、通念にのっとって作られているようです。

4つ滝がかいてあるから、そのうち、3つが3段の白岩の滝では、と思いますよね。
 ・・・・地図の滝が現地のどれか、これもよくわかりませんでした。良く合わない。
 迷った末に、後日わかった結論からいうと、

最初の滝が、F4(下位瀑布帯の上滝2:比高1m)、
雨乞淵の滝が、F6(白岩滝瀑布帯の本滝1:狭義の雨乞の滝、通念の白岩の滝下段:13m)、次の滝がF7(本滝2:狭義の白岩滝、通念の白岩の滝中段:12m)、最上流の離れた滝がF11・12(上滝4.5:あわせて9m)ということになりそう。普通、白岩の滝上段とされている、F9(上滝2 3連 9m) が、どういうわけか、省略されています。
雨乞淵は、遊歩道からは、それらしき淵は見えません。2連になっている雨乞の滝の、上段の滝の滝壺(深さ2.3m)がそれに当たると思います。
本滝1の下にある標柱

「白岩の滝 日の出町」とあります。

後ろの道は遊歩道。


 ここまでくると、初めての人には、色々の疑問が噴出するわけ。

1.最初の看板にある、滝の様子と全然違う !
2.どれが雨乞淵なのだろうか ?
3.国土地理院の2.5万地形図「武蔵御岳」にある白岩滝と思われる滝記号は、位置が全然違う。ここでなく、もっと上流にある。

など。
 
疑問の答えは、すでに上の看板の項に書いておきましたが、それは、瀑布帯の様子を、全部確認しないとわからないことで、ありまして、最初に行った時全然分かりませんでした。
 
  幸いなことに、瀑布帯沿いに遊歩道があって、瀑布帯の各滝の位置と高さを確認することができました。
 1回だけでは、時間がなくて、全部の滝に取り付けなかったので、岩質や高さなんかも再調査が必要でしたが、その後、051123に滝の高さは、箱尺と簡易レベルで測量しました。 
<瀑布帯の様子を確認しました>
 現地で、確認したタルクボ沢の瀑布帯の滝の平面位置と高さはこんなものです。

国土地理院2.5万地形図 武蔵御岳 をもとに作成。
● 滝の位置 滝の高さと瀑布帯の構成は現地観察と略測による。 −:遊歩道位置  他を記入。
段彩 薄い桃色:標高550m以上。薄い黄緑色:550〜450m。
    白抜き:瀑布帯のある高度帯:450〜350m。薄い黄色:350m以下 ・・・・051123に測量して、修正しました。蛇足ですが、6+8という場合は、2連で上流側の滝高さ6m、下流側の滝高さ8mの意味です。


 2連:2つの近接した滝からなる連瀑の意味。3連もおなじ。本滝、上滝の意味と番号付けは、用語集を参照してください。
 ざっと、初めて歩いた概査で、高さについては、低い滝は目測です。 位置も2連の滝を●1つで表現しているように、大体です。

右上(北東)が、タルクボ沢の下流側。

F1からF12までの滝があることがわかりました。
そして、断面形から見て、F1〜F4:比高約10mの、第1の瀑布帯。 F6〜F12:比高約47mを、第2の瀑布帯と、2つの瀑布帯に分かれることが判りました。・・・・雨乞橋瀑布帯白岩滝瀑布帯ということにします。
 「三段の滝」というのは、3つの大きな滝ということでしょうから、第2の瀑布帯(白岩滝瀑布帯)の、本滝1,2(F6とF7、各、滝高13mと12m)と、上滝2(F9、9m)の3つの滝が大きいので、この3つの別々の滝のことのようです。
<瀑布帯の断面図を書くとこんなです>

 2つに分かれていますね。
 白岩滝瀑布帯は、平面形が屈曲点ごとに滝があるタイプ:屈曲点立地で、最初に大きな滝があり、だんだん小さくなる、降順型瀑布帯です。
 このことから、瀑布帯としては、本滝1の位置から、複数の滝が分裂し、お互いの滝の間隔が広がりながら、上流へ動いている時期のものと考えられます。
  他の川の滝との関連や、時期については、後述。
 





<ところで、国土地理院の地図の滝の位置が不適切でした>


■地形図と滝の位置
 もう一つ、これも罪が深いのですが、国土地理院の2.5万地形図の滝の位置に、滝がないんです。(^_^;)
2.5万地形図の滝の位置が違っているんですよね。3つ無いのはいいとして、その3つのどれとも一致せず、0.7m! の高さの滝の位置に書いてあります。上の滝位置図の上滝1の位置にあるんです。 現地で、滝の位置を記入していく時に、このために、えらく、考えさせられ、妨害されました。
 滝の記号というのは、滝頭の所に書くんでないかと、思うんですが、これはどうゆうつもりで記入したんでしょうか。
大体この辺、というのはまずいと思うんですが。・・・国土地理院は地図のプロですもんね。

<それでも、瀑布帯の滝の名前が、判りません>

 曲がりなりにも、実態は判りましたが、滝の名前は、いまだに、わかりません。(^_^;)

1.白岩滝の看板は、文面を読む限り、滝の地形から観て、どうも、本滝2のことを言っているらしいです。
 ⇒本滝2が白岩滝?

2.しかし、本滝2には、何の標識もなく、本滝1の所に、標柱で白岩滝と書いてあるし、3冊の滝の本には、本滝1が白岩滝の写真として載っています。
 ⇒本滝1が白岩滝?
 
3.また、看板には、雨乞滝という名が出てくるのですが、消えかけた地図の位置から見ると、雨乞淵というのは、本滝1(2連の滝)の中段の滝壺(狭くて小さいけど)と思われます。なお、滝下の淵は、浅いし埋まっているので、雨乞い淵ではないでしょう。 ⇒本滝1は雨乞滝かな 

4.連瀑帯を、■■滝という、1つの滝名で呼ぶことは多いので、上滝2と本滝1.2の3つで白岩の滝というのかもしれません。それが一番矛盾しなさそうな解釈ですが、白岩滝の看板で読む限り、1つの滝で、白岩滝みたいです。
 ⇒3つの滝の総称が「白岩滝」・・・ではないらしい。

以上: 現地での結論は、『他郷の者には、なんだか全然わからん。』でした。
<ここで、心を入れ替えて、地元の資料を当ることにしました。>

1.まずは、町のWPを見てみました。
 日の出町のWP  http://www.town.hinode.tokyo.jp/play/play_04.html を参照。「・・・・」は中略。

「日の出町を流れる平井川の源流部に近いタルクボ沢の上流にある「白岩の滝」は、落差8.5mと落差12mの二段からなる「雨乞の滝」とその上流にある落差15mの「白岩の滝」の二つの滝を総称し「白岩の滝」として案内している。
 白岩の滝は、・・・・、白岩の滝バス停で下車し、そこからタルクボ沢に沿って・・・・雨乞橋を渡り足を進めると約5分ほどで白岩の滝に到着する。
 まず最初に目にはいるのが、白岩の滝の滝壷近くにたつ「白岩の滝」という看板。でも実はこの滝は「雨乞の滝」。⇒画像があり、本滝1です。
 ・・・・「雨乞の滝」が見終わったら、滝に沿ってまわっているハイキングコースを更に進む。・・・・登りつめて広がった視界の先には「白岩の滝」が現れる。(画像があり本滝2です)・・・・・ここから先のハイキングコース沿いにもいくつかの滝があり、流れ落ちる心地よい清流の水音を聞きながら進んでいくと、・・・・日の出山頂上を目指していく。

 なるほど、訳分からん看板の件は、やっと分かりました。本滝1と2について雨乞の滝と白岩の滝というが、両方いうときは白岩の滝なのね。
 ・・・こんなことも分からせないように書いてある、看板の文面の無意味さと、観光客への不親切さは、今まで私の見た滝の看板ワーストワンといっても過言ではない。

結論としては、本滝1が、雨乞の滝。本滝2が白岩の滝。上滝2が無名の滝。でこの3つが3段ということになる。
 
-------
 鳶八さんのHPに、情報がありました。 ⇒ http://www.asahi-net.or.jp/~ce6n-mngw/fall092.htm 

こちらには、3つ滝があるとなっていて、それが、町のHPの雨乞い・白岩・無名の滝で、画像から、本滝1.2と上滝2であることがわかります。だれだって、普通に見ればそうですよね。

 でも、日の出町では、2つ滝があることになってるようで、3段目の滝については、無視しているようです。その、根拠があるみたい、すなわち、意味不明の文章にしても、看板には、「町史による」とありますので、詳しい調査報告があるのでしょう。
 もう少し知りたいですね。
2.・・・・という訳で、日の出町図書館に行って、「日の出町史」など関係資料を探してみました。1日がかり。(^_^.)

 結論からいうと、日の出町史に、白岩滝の項があり、詳しい調査結果が書いてありました。ちなみに、最初の看板にある「文化財篇上巻」という本はなくて、「日の出町史通史篇上巻」の間違いです。

 滝の名称と位置については、普通、地元の方が書かれた町史の記述が、一番詳しくて正確であり、かつ、間違いないかどうかの校閲を経ている文章・情報なので、それを基にするのが常道というものです。それだけ正確性と権威があるというわけ。
 日の出町史の記述も、詳細で、大いに参考になるのですが、残念ながら、滝の高さについての記述に明らかな間違いがあります。 白岩滝が2段14mの所を、20.5m、白岩滝が12mのところを15mとなっていて、大きな滝は2つしかないように書いてあります。
 つまり、白岩滝(本滝2)のすぐ上流にある、上滝2(3連9m)をいれて、小澤氏他の方々が、3段といっており、それが通念となっているのですから、白岩滝の上流にある9m滝までいれて、3つの主な滝というべきだと思うんです。
 しかし、町史は、3つ目の滝を「小滝」として、高さも記述していません。この点は、明らかに、まずいですね。

 ただし、、町史には、別の考え(前述の通念の考え)の所もあるのです。
町史の巻頭の写真に、白岩の滝が3枚出ています。白岩ノ滝 上段、中段、下段 として、私の上滝2、本滝2、本滝1、があります。

 町史の本文では、同じ滝を、小滝7.8? 白岩の滝、雨乞の滝(白岩と雨乞の滝をあわせて白岩の滝ともいう)となっていますので、違う考えです。
 さて、滝の看板や、最新の情報であるHPでは、町史の本文の記述にもとづいて、滝2つ説:雨乞の滝、白岩の滝 で書かれています。も観光の宣伝として、対外的に地元自治体がやっているということですので、地元民の代表である役場の言うとおり、滝2つ説で呼ぶしかありません。
<滝の名前 結論1>

  以上により、白岩滝瀑布帯の滝は、下流側の滝から、この名前ということにします。

左から、
 (本滝1) 雨乞滝 2連8+6=14m
 前面8mの


 (本滝2) 白岩滝 2連9+3=12m



 (上滝2) 無名 2連2+5+2=9m


<滝の名前 結論2、・・・・町史の名づけ方はおかしいと思います。>

ということで、町史に倣うと、上記のようになり、地名というのは地元民が多数決で呼ぶものですから、これが現状の名称ということになります。

その上で、私の判断をいうと、これでは、本来の地名が歪められている姿だと思います。
 町史に倣った結果として、白岩滝という連瀑帯のうち、雨乞い淵のある滝を雨乞の滝の別名で呼び、白岩の滝を1つの滝に当てはめてしまったので、残りの無名のでかい滝ができてしまっています。町史の白岩滝の当てはめが、滝の名称の歴史性を無視しているように思われてなりません。本来は、無名のでかい滝があるような名づけ方ではなかったはずと、かなりの確信を持っていえます。
 つまり、過去においては、3つの滝の総称(あるいは、瀑布帯全部)で、白岩の滝だったんじゃないですかね。「通念」という言い方で、言いましたが、地元の方もみなそう思っているのでは。
複数の滝からなる連瀑帯を指して、■■滝といい、1個1個区別しなくてもいい場合は区別しないのが、江戸期以前普通のことだったんです。
 同じような滝の名づけ方の事例が、近くの桧原村の天狗滝の連瀑帯についてもあります。⇒こちら
 勿論、「3つ目の現在無名の滝に本来名前があって、忘れられてしまった」という可能性はあります。しかし、白岩神社があったり、雨乞の滝を白岩滝の最下段とし、2つの滝の総称として白岩滝と呼んでいたということから、3つの別の名前の滝があったというより、白岩滝が3つの滝の連瀑帯の総称であったというほうが、ありうる形と思います。

 明治時代の地誌などの智恵では、白岩の滝〔一の滝(雨乞の滝)・二の滝・三の滝〕のような呼び方の構造にして、連瀑帯の呼び名にしていますが、そんな智恵を将来的には出したほうがいいのではと思います。
 名前が無いということは、無いと同じですから、滝が、2つしかないより、3つあったほうがいいですものね。(^。^)
・・・・というような、滝の地学には関係ないことは、ここでおしまい。

 <遷急区間の地学的記述> 
●遷急区間の成因:支流型の滝。
●遷急区間の構成:大小の滝10数個で構成されています。 比高10mの第1瀑布帯(雨乞橋付近の連瀑帯)と、比高40mの第2瀑布帯(白岩滝連瀑帯)に分けられる。
第2瀑布帯は、本滝1:雨乞滝(2連の連瀑) 14m、本滝2:白岩滝(2連の連瀑) 12m、上滝2(9m)、他の滝がある。・・・・図参照
なお、比高10mの第3遷急区間が上流にある。

●遷急区間の位置と岩質との関係
 小平川の流域の支流のうち、この川だけが目立った遷急区間を作っていて、硬い岩質の岩石の存在を思わせる。さらに、滝付近の谷斜面には、一面に露岩記号があり、いかにもチャートがあって遷急区間が止まっているのではと思わせる。
 しかし、チャートは無いんです。取りつける滝面の岩石自体は、割れ目も多く入った砂岩で、硬い岩石という感じで無い。
 ・・・というわけで、地質図や滝面の岩石からは、何故、遷急区間があるのか、わかりませんでした。 かなり這い回って岩質を詳しく見ないとわからないかも、と思います。

●遷急区間の年代:第1瀑布帯(雨乞滝橋下の滝から雨乞滝までの瀑布帯)が、秋川流域に広く見られる第1遷急区間、第2瀑布帯(雨乞滝・白岩滝・5m滝の瀑布帯)が、第2遷急区間に対比されると考える。・・・・天瀬段丘と青柳段丘対応かな。
ということは、秋川の支流の払沢川の払沢滝瀑布帯、千束沢の天狗滝瀑布帯、などと、雨乞滝・白岩滝瀑布帯は、同期の滝ということになります。また、本流では、三頭沢の大滝の瀑布帯(夢の滝の瀑布帯は第1遷急区間)と対比される。・
●遷急区間の変遷:瀑布帯の平面形は屈曲型立地で、降順瀑布帯ですので、分裂期にあたります。

 <個々の滝の微地形> 各滝の画像に付記。
以下、作成中です。


位置図+地質図 

 まだ作ってない。
河床縦断面図(小平川)

 まだ作ってない。
河床縦断面図(タルクボ沢)
河床縦断面図(タルクボ沢)判読
 
 まだ作ってない。

 瀑布帯の各滝と地形 アルバム ・・・・・文章まだ全部入ってません。 F1〜14 下流側からの滝の通し番号。

雨乞橋瀑布帯の滝 

●左の画像:F1 3m 

下の瀑布帯:下滝1にあたる。
遊歩道入口より撮影、雨乞橋が見える。

●右の画像:F2 2連5m
本滝にあたる。
 雨乞橋より撮影

雨乞橋瀑布帯の滝

●F4 1m 

下の瀑布帯:上滝2にあたる。
遊歩道より撮影。 看板の地図の一番下の滝にあたる。
けど、描くほどのものかねえ?


ただ、清流ですね。

 F6 白岩滝瀑布帯の本滝1  2連の連瀑

 名称:雨乞滝、あるいは、白岩の滝下段。上段の滝下の滝壺が「雨乞淵」だと思う。

●落差: 14m 上の滝  6m(測定) + 下の滝  8m(測定)

●景観: 上 6m 溝状急斜瀑 複合型副滝溝状 曲がり滝
      下 8m 壁状急斜瀑(下部浅い両溝化)
●形態・変化:
 上:線滝 直線溝状急傾斜 全面滝壺 
 下:面滝 壁状急傾斜、下部が両溝化しつつあり、末広。 全面滝壺(浅い)
●立地:曲がり角立地。 
 瀑布帯最初の滝。 峡谷の方向が直角に変化する所。
●岩質との関係:
 もめててはっきりしないが、峡谷の方向が走向に平行(弱層の直線谷:長さは短いが)から直行方向に変わる所らしい。勿論、逆層・・・らしい。
●人とのかかわり
 看板地図にある、雨乞の地とのこと。 8mの滝面上行く踏み跡が左岸にあり、水神(不動尊)の石祠がある・・・石宮は最近のもの。
 白岩神社にいかなかったので、それ以上のことはわからず。

○補足1 滝の高さについて、町史の値は高すぎ
 町史によると、上の滝が12mになっています。下の滝は8mで、私の実測値と同じです。
 合計20mの大瀑布ということになりますが、どうみても、上の滝が下の滝より1.5倍も高くありません。測定で6mとでました。
 
○補足2 8m滝の滝面は、類例の少ない末広がり・富士山型の滝面。この成立条件
 ←成因的には、滝下広場が、滝の侵食によらず、(構造線等の弱線の侵食により)広くなっている場合、+滝面の傾斜が緩い場合 に発生することが多いのでは。
 ←立地的には、流路が直角に曲がり、構造線谷の谷壁に懸かる場合+下流から見て瀑布帯の始まる地点 に多いのでは。
 ・・・事例:三頭沢の夢の滝。養老川の粟又滝。そうで無い事例:海沢の三ツ釜滝
 ←滝面の形が、懸崖・直下・急傾斜の場合は、上下の幅の比が、1:1.5以下になるようです。
 緩傾斜の場合、2以上になりうる。幅が広がることから、普段は、片溝型の複合型滝面になってしまい、深い副滝にのみ水流があることが多いはず。浅く両溝化しているので、壁状滝面から変化する初期の形と推測する。

雨乞滝上段(6m)と雨乞淵

8m滝の上流にある。





雨乞滝の水神祠

コンクリート製

 F7 白岩滝瀑布帯の本滝2  3連の連瀑

●名称 白岩滝 白岩の滝中段
 画像は、下の滝 
  2連の連瀑でしょうけど、近いので、階瀑に見えます。
  その上に、3mぐらいの上の滝(緩傾斜滝)がある。滝の下端が見えてます。
  

●落差:下の滝 4m+5mの連瀑 ・・・町史では12mになっています。これは過大。
      上の滝 3 m

●景観: 3つとも 溝状直下瀑
●形態・変化: ----
●立地:曲がり角立地。 峡谷の方向が直角に変化する所。
●岩質との関係:
   約30度ぐらい、左から右に傾斜している地層の走行方向にかかっている。順層か逆層かはわからないが、滝面の形から見て緩い逆層ではないかと思います。

●人とのかかわり

 遺物は何もなし。雨乞いの信仰行事も下の雨乞い滝で行われたのではないでしょうか。
 F8、F9 白岩滝瀑布帯の上滝1 上滝2


 F8 上滝1 0.7m
 この位置に、2.5万地形図の滝記号がある。


 F9 上滝2 名称:白岩の滝上段

●落差: 9m

●景観:上 2m 中 5m 下2mの3連の連瀑
●形態・変化: ---
●立地:曲がり角立地。峡谷の方向が直角に変わる所。
●岩質との関係:
 30度ぐらいの順層だと思いますが、そこいらじゅうもめて割れ目だらけなので、なんとももうせません。精査が必要。
 F10 

●名称 白岩滝瀑布帯の上滝3

●落差: 3 m

●景観: ---
●形態・変化: ----
●立地:曲がり角立地。 ----
●岩質との関係: ----
 
 F11、F12 
●名称 白岩滝瀑布帯の上滝4、上滝5

●落差:  4m 5m

●景観: ----
●形態・変化: ----
●立地:第2瀑布帯の上流端。

F5は、崩壊した巨礫に堰きとめられて,埋まった滝の上の河道移動した滝のようであり、本来はより低い滝であった可能性が高い。

●岩質との関係:
 

白岩滝瀑布帯の上流部

河床より3mぐらい高い河岸段丘状の平坦地になっている。

左の画像、左方に見えるように、巨礫の堆積面になっており、土石流の堆積面と思われる。
遷移区間の上流の谷底が、土石流の緩傾斜堆積面になっていることは多い。

白岩滝瀑布帯より上流

<左>
緩やかな流れになる本流。
手前の平坦地は、土石流堆積面

<右>
本流に合流する支流の流れ。
手前の滝は2.5mぐらいですけど、画像の右の道沿いに急流をなしていて、比高10mぐらいの懸谷遷急区間になっている。

この支流は、断面図にピンク色で示した支流で、この比高約10mが、本流の第3遷急区間の比高と一致する。
 この支流懸谷は、第3遷急区間と考えられる。


 <個々の滝の微地形まとめ>

●水流の作る形
 溝状すぼまり、滝壺未発達
 円弧状滝面の両溝化
 

●岩質からみて
秩父系の砂岩

 割れ目がどっさりの







 中山の滝   この「滝」は、地学的には低くて、滝とは言わないですけど、歴史的には立派な滝です。
秋川流域から木材を筏に組んで下流に運んでいた、筏師にとっての「滝」です。すでに行われなくなって久しい、河川水運の昔の姿をしのぶ貴重な地形です。
 中山の滝     桧原村 

●岩質:小仏層群の盆掘川層の砂岩頁岩互層

●遷急区間の成因:
●遷急区間の構成・年代
 
●景観: 
●形態・変化: 
峡谷の方向が走向に直交から平行に変わる所。
 
●岩質との関係:

鍵の手に曲がる滝の上流の谷

滝の下流のV字谷・中山峡
 この滝は、今までの滝と違いますね。 
 本流の小さな遷急点。第3遷急点より新しいです。
 小さな段と狭い廊下になっている地形で、今の常識では滝とは呼ばない。
 小仏層群の盆掘川層の砂岩頁岩互層 めちゃくちゃに褶曲している。峡谷の方向が走向に平行から、直交に変わり 北秋川と合流して平行方向に変わるまでの区間が、廊下と小段と瀞の峡谷になっている。
 段差は、平行から直交に変わる屈曲点(複数)
 筏流しの難所であったので、川で働く人たちが「滝」となずけた。
 上流の山で切り出した材木を、筏流ししてくると、南秋川の最後の難所の始まり地点。筏師達が無事を祈った場所で滝の名がつく。こうゆう低い段でも滝と呼ばれる場合があリ、滝という概念の内容が今とは違っていたんだということを示す貴重な事例として、こうゆう地名と地形は大事にしたいものです。
   小仏層群の盆掘川層の砂岩頁岩互層 峡谷の方向が走向に直交から平行に変わる所。
 南北秋川の合流した秋川にある。北秋川の筏流しの最後の難所、中山峡の始まりにあたる。中山峡はこの下流で3つ段があるそうだがその最初、一の滝という。
位置図+地質図 と 河床縦断面図
     児町宮 

●岩質:

●遷急区間の成因:
●遷急区間の構成・年代
 
●景観: 
●形態・変化: 

 
●岩質との関係
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