滝おやじの巨石奇石の地学 訪問記録 | ||||
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稜線の肩に立地し、コアストーンの形をよく残し、破断面が1つ入って2つに割れているだけと、まとめられます。 稜線平坦面上に立地する、小型のコアストーンとして、立地と形が典型的な例です。 <発端> 花崗岩の巨石地形事例を集めるため、福島県の阿武隈花崗岩露出地を廻っています。 6月に、巨石が多い二本松市内を集中して歩きました。 この地方の巨石の事例は、インターネット上のyo-hamada氏のブログ「巨石!私の東北巨石番付」 (http://hamadas.exblog.jp/ 20130522現在) から所在情報を得ています。 この鈴石もその一つです。 yo-hamada氏のブログでみますと、地名「鈴石町」の元になり、神社の名前にもなっている巨石とのことです。あまり大きな石ではありませんが、典型的なコアストーンのようですので、興味を持って訪れてみました。 |
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![]() 右の位置図は、国土地理院2.5万地形図「岩代本宮」より作成。 中央の神社が、鈴石神社。赤丸が鈴石の位置です。 二本松市鈴石町にあり、鈴石地区中央にある鈴石神社の裏手にあり、神社とは別の尾根上にあります。 地質図では、阿武隈花崗岩の粗粒花崗閃緑岩(角閃石・黒雲母花崗閃緑岩)にあたります。 阿武隈花崗岩はすっかり風化し未固結のマサ化していて、マサ中に未風化のコアストーンが散在している岩相で、二本松丘陵とよばれる、低い・緩やかな山地となっています。 |
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<立地> 未固結な粗粒砂中に未風化の堅硬なコアストーンが散在する岩相の岩石が、侵食を受けている山地ですので、コアストーンが侵食に対する抵抗点になり、山頂や稜線末端の肩に露出しています。 鈴石も平坦な稜線の末端の肩部分にあります。 尾根の微地形でいいますと、尾根斜面でなく、尾根稜線部分の平坦面上にあります。 平坦面上のコアストーンは、コアの大小で破断状況に違いがあり、コアが小型の場合は完全露出して、破断が少ないのが特徴です。 鈴石は、この特徴に合っています。 鈴石の場合、少し地中にあり、下は完全には見えないのですが、石のある位置から下の急斜面には露岩が一切見られませんので、鈴石は、おそらく根無しのコアストーン、いわゆる「根無し石」と思われます。 |
![]() 鈴石付近から二本松丘陵の山と谷を望む |
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![]() 鈴石と稜線の肩 |
![]() 尾根上方から見た鈴石 |
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<コアストーンの微地形> 下図は、北側から見た鈴石とそのスケッチです。 肌色彩色部分は、コアストーンの風化球面。白抜き部分が破断面。 |
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![]() スケッチに示したように、コアストーンの丸みのある外形は残していますが、風化が進み肌ががさがさで、表層の平行風化により、部分的に層状の剥離割れ目ができ、亀甲状の割れ目が入っていて、石の右下部分のように一部は剥離しています。 また、縦方向の上に開く開口割れ目で、真っ二つに破断しています。割れ目は曲面で、節理面が開口したのでなく、重力による破断割れ目です。 根無し石の場合、このような縦方向の破断開口割れ目がよくできます。 割れ目の入り方は、底面の傾斜方向に対応していることが多いのですが、鈴石の場合も、割れ目の方向と石が載っている稜線平坦面の方向が対応している用に見えます。 しかし、緩傾斜ですので、あまりはっきりしません。⇒詳しい図を作らないと確言できません。 |
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![]() 北側から、割れ目と平行な方向で見た画像。 割れ目が節理面でないことが分かります。 右側(尾根の上側)が、開口し右方向に逆傾斜しているのが分かります。 |
![]() 南側を側方から見ます。 北側からの画像と合わせ、縦割れ目で、岩塊が2つに分離していますが、南側方向(斜面方向)には滑っていないことが分かります。 画像手前側(尾根の上方側)が逆傾斜 |
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西側。 <コアストーンの形の見方>形のモデル 1.コアストーンの外形、平面形と尾根の方向 長方形で長辺が尾根方向? 2.コアストーンの外形、断面形と尾根・斜面の形 風化帯の関係から旧地表面と平行になるのでは? 3.破断形、 表層風化による剥離殻状割れ目・亀甲状・網タイツ様の割れ目模様 4.破断形、 重力破壊による縦方向・斜め方向の開口割れ目:曲面、平行に何層も入る、コアの大小により入り方が変化? 平坦面の場合と斜面の場合。 中央では縦、周辺では斜め。中央下部に内核状。 |
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<歴史資料> 鈴石には、看板等なし。 鈴石神社 鈴石と同じように稜線先端の肩位置にあります。 この立地から露岩があるのではと思いましたが、行ってみると境内には全く露岩なく、すべてマサで、マサの金色粒がキラキラ輝いていました。 →露岩がなくても、尾根は立つ! 鈴石神社由緒看板 編年体の由緒書。伝承は省かれていますので、鈴石については何も書かれていません。 |
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(以上) |
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