2005年友の会滝めぐり観察会・神流川、両神山の滝 下見記録 その1 神流川流域の滝
川は1つなのですが、地質は、大きく4つに分かれます。

1。三波川結晶片岩・・・・緑色片岩や石英片岩が小さな滝を作る。
2。御荷鉾緑色変成岩・・・・今回滝は無かった。まともな滝ができないらしい。
3。秩父系北帯(柏木層、万場層、蛇木層など)・・・・準片岩化したチャートが滝を作る。
4。山中地溝帯の中生代の地層(石堂層、瀬林層、三山層など)・・・・褶曲して急に傾いた砂岩や礫岩が滝を作る。

地質の様子と滝についてまとめてから、個々の滝の紹介をします。

 <滝めぐりの対象の山域・・・・関東山地北部の山々>
関越道をでて、児玉町方面からの御荷鉾・両神山の遠望。・・・・・カシミールで作った図。
山名が抜けている→700と愛宕山の間の峰が、雨降山。 この雨降山と東・西御荷鉾山が、よく目立ちます。 当日は両神山は雲で見えず。
三波川結晶片岩と滝 ・・・妹ケ谷不動滝 滝ノ沢の滝 滝の下橋の滝  
神流川下流の鬼石付近や支流の三波川流域は、三波川帯と呼ばれる地質区で、地下深いところで低温高圧型の変成作用を受けてできた、三波川結晶片岩が分布しています。
三波川結晶片岩をまじかに見たのは、初めてです。というか、何十年も前に長瀞に行って以来かな。
今回、地質図と合わせて読図して、実物も見ましたが、全体として硬くない、ボロボロ岩です。割れ目が多いがしみる岩石ではないので透水性は中ぐらいかな。
そのへんを反映して、三波川結晶片岩の山は、山頂が小さく、丸く、緩く、低い。山地斜面を刻む谷は比較的細かい。という特徴があります。・・・山といっても、低くなだらかで、名前ついてるのは、寒桜の桜山ぐらいですので、ろくな山が無い。

 三波川結晶片岩のなかでの岩質の差
三波川結晶片岩は、地質図によると、変成作用を受ける前の母岩の種別により泥質片岩、砂質片岩、苦鉄質片岩に大別され、変成度によって点紋の片岩と、無点紋の片岩に分れるようです。
点紋の有無は、侵食にはあんまり関係ないみたいです。
 泥質片岩:母岩が泥岩等、有機物を多く含むので、それが石墨化して黒い。黒色の片岩。片理が発達し、細かくペラペラになっている。岩石の分布ではこれが一番多く、面積的には大部分をしめる。
黒色片岩は、風化してない新鮮な状態では、硬くて丈夫で、風化しても、風化帯は薄く、変質はしないようです。
しかし、風化しやすいらしく、片理構造がはげやすく、断層や節理もどっさり入っているし、物理的風化や侵食には、小さな破片になって崩れてしまう、超弱いボロボロ岩ですね。

 砂質片岩:母岩がチャートや砂岩。石英が多く、石英片岩など。紅簾片岩もこの仲間。見た目、片理の発達が悪くて、厚い層状で緻密な感じ。
 苦鉄質片岩:母岩が火山灰起源の凝灰岩など。緑色の片岩:緑泥片岩や緑簾片岩になっている。石英片岩などと互層状になっていて、細かい片理の発達が悪く、緻密。10・20cmぐらいの片状構造は発達している。
 この2つは、岩質は硬いのですが、片理が入っているので、剥がれてしまうようですので、大きな滝は作らないようですが、泥質片岩より当然侵食に強く、三波川帯で滝があるとすれば、この部分と考えられます。
 今回の滝も、
 妹ケ谷不動滝:苦鉄質片岩(緑泥片岩)らしい
 滝ノ沢の滝:苦鉄質片岩(緑泥片岩)
 滝の下橋の滝:砂質片岩の石英片岩らしい。・・・のようでした。
三波川帯での滝さがしの際に、地質図で当たってみるといいのではと思います。

なお、山頂や斜面の地形にも関係していて、やや硬い岩として、小規模な急崖や稜線、峰などを作っています。

 泥質片岩(黒色片岩)

妹ケ谷不動滝の下流で採集。
石墨片岩ってやつです。
<左、片理面。右、断面> 石墨片岩です。黒くて擦ると石墨が指につきます。
白く光るのは、白雲母。片理面上で、ごま粒状の黒い点々は、黒くなった曹長石。これを、点紋といって、無点紋の結晶片岩に比べると変成度が高いとのことで、地質図にもその分布境界が記入されている。

ご覧のように、片理が細かく入っていて、風化してると、手で簡単に剥がせます。めっちゃんに弱い岩ということですね。

 苦鉄質片岩(緑色片岩)


 三波川大奈良で採集。 緑泥片岩って奴だと思います。
 上面が片理面。 断面が見える・・層状に配列してますが、片理面が入っているというわけでない。というわけで、結構緻密。

 点紋がありますね。
 砂質片岩(石英片岩など)

 三波川大奈良で採集。 紅簾片岩って奴だと思います。

 片理面には、白雲母が多く、光ります。点紋もあり。
 断面は、白い石英片岩と互層になっている。層状構造はあるんですが、  片理面はたまにしか入ってなくて、緻密な厚い層を作っています。
 三波川帯では、オーバーハングした崖は、この片岩のようでした。
 妹ケ谷不動滝   鬼石町三波川 上妹ケ谷

滝上の不動尊の霊地になっている。

水系:神流川水系三波川
流域面積 1.41Ku
地質・岩質:三波川結晶片岩の苦鉄質片岩
地質構造:結晶片岩の片理が逆層
遷移点の成因:支流型の滝
遷移点の形:連瀑:3連。
本滝3m、上滝1:2m 下滝1,2: 0.3m、1m
 本滝と上滝で10mということになっているが、5mがいいとこですね。
滝面の形:線滝 円弧状 
<左>本滝3m(奥)と下滝1m
地図はこれ、
国土地理院2.5万地形図「万場」+5万地質図「万場」より作成。
  滝の位置
 ■ :点紋緑色片岩
 □ :点紋黒色片岩
(図の範囲では以外の全部)
緯度経度(世界座標):
北緯36°09′26.9″ 東経138°57′40.3″

滝の位置から見て、支流型の滝ですが、その位置が、緑色片岩の層と黒色片岩の境になっています。両者の岩質から見て、緑色片岩に滝の後退が止められていると考えられます。
 三波川帯では、片理面の方向=母岩の層理面の方向とのことですから、片理が南落ち方向で支流の方向とほぼ直交する向きと考えられるので、逆層になっていることが予想される。
<右>本滝

今回取りつかなかったのですが、本滝の滝面は下部が、砂質片岩・・紅簾片岩のように思うが。上部が?。地質図だと、苦鉄質片岩ですので、緑色片岩かも。

下滝(1m)は、泥質片岩〔点紋石墨片岩〕でした。片理面が、急斜して逆層になっていました。
 ・・・このへん、地質図との関連。予想通り。

 滝面は、線滝、円弧状、急傾斜。

 時間がなかったので、再調査が必要です。
 滝ノ沢の滝  滝ノ下橋の滝 (両方とも勝手な仮称です) 
 三波川の支流、滝ノ沢の懸谷の滝。
 その下流の橋の下に本流の滝がある。

水系:神流川水系三波川支流 滝ノ沢の合流点とその下流の本流
流域面積 滝ノ沢の滝 1.18Ku  橋の下の滝 8.37Ku
地質・岩質:三波川結晶片岩の緑色片岩、石英片岩
地質構造:結晶片岩の片理が緩い逆層
遷移点の成因:
 滝ノ沢の滝・・・懸谷の滝
 滝ノ下橋の滝・・・本流型の滝、石英片岩と緑色片岩との境界?
遷移点の形:ともに単一の滝。
滝面の形:
  滝ノ沢の滝 3m 線滝 円弧状。
  滝の下橋の滝: 4-5m? 面滝複合滝面 階瀑 溝型副滝 
時間なくて、一瞥。再確認したい。

滝の位置図。

下の地質図から見て、滝の立地、特に、滝ノ下橋の滝の場合は、石英片岩・緑色片岩の層との関係は明らかです。

 滝付近の岩質、十分確認できてないですがこんなものみたい。
 だけど、面白いことに、地質図だと逆なんですよね。

 今度行ったとき、確認してみようと思います。
地図はこれ、
国土地理院2.5万地形図「万場」+5万地質図「万場」より作成。

滝ノ沢の滝と滝の下橋の滝は、それぞれ、緑色片岩(緑泥片岩)と石英片岩のようでした。

緯度経度(世界座標):滝ノ沢の滝
北緯36°09′56.6″ 東経138°58′43.8″
緯度経度(世界座標):滝ノ下橋の滝
北緯36°09′56.2″ 東経138°57′47.2″
 以上、<三波川結晶片岩帯での滝の立地>
1.黒色片岩(泥質片岩)をすぐ侵食してしまい、石英片岩(砂質片岩)または緑色片岩(苦鉄質片岩)で止まる。
2.片理面が逆層なのが、滝の保存に都合がよい。
3.岩の破壊されやすさから、連瀑化しやすく、線滝になりやすい。
4.いずれにせよ、丈の高い、立派な滝はできないんでしょうね。・・・・無能な支流の懸谷の滝は高いのがあるかも。
秩父系北帯の滝 柏木層群の準片岩化したチャート + 石灰岩体からの湧水滝 

 ・・・・・入沢の滝 早滝 + 白水滝   
神流町の北部の、入沢の滝、早滝などは秩父系北帯の柏木層の下部のチャート層にあたります。
・・・・まだ行ってないけど、小豆の滝もそうみたいです。
柏木層の下部層は、チャートが準片岩化した岩石で、チャートのようでもあり、結晶片岩のようでもあるという変わった岩石です。御荷鉾山の南の奇峰愛宕山を作っている地層でもあります。

柏木層は、神流川流域での滝の立地岩石でもあり、露岩や崖、岩峰などを作る、硬派の岩です。
その他の、万場層や上吉田層は、その一部のチャートや石灰岩層以外は、硬くなさそうです。
 柏木層の準片岩チャートの様子

 神流町柏木 柏木橋下流の神流川河床

 赤色、青色、黒色の層状。チャート並みに硬いが、層にそって剥げる。
 
 赤色の準片岩化チャート

 左:神流町柏木 柏木橋下流神流川河床

 右:早滝の滝面

 入沢の滝の滝面下部にも同じ岩石が出ている。
 紅簾片岩に似ているが、レンガ色で白雲母がない。
やわらかく煮込んだ豚肉に似てますね。
 
 淡緑色の準片岩化したチャート。

 神流町柏木 柏木橋下流神流川河床

 黒色の層、白色の石英層との互層になっている。
 
 淡緑色の準片岩化したチャート
 
 入沢の滝 の滝面
 右 片理面 左 断面

 緑色片岩に似ているが、白雲母がなく、緻密でない。
こっちのほうが何しろチャートですから硬いですね。
  入沢の滝   神流町柏木 
 三波川の支流、入沢川の支流上流にある。
 滝前に不動堂があり、滝は裏見滝になっていて不動尊が祀られている。
 
水系:神流川水系入沢川支流
流域面積 0.50Ku。
地質・岩質:
 秩父系北帯柏木層群・準片岩化した赤色・淡緑色チャート
地質構造:片理構造は20°ぐらいの逆層
遷移点の成因:
  支流型の滝。柏木層群を侵食してきて、この地点で柏木層群下部の硬いチャート層にあたったせいか。?
遷移点の形:単一の滝。
滝面の形:高さ 測定値26m (万場町史では約40m)。
 線滝 直下型、滝面中部が地層に沿って凹み、裏見の滝になっている。
  緯度経度(世界座標):北緯36°06′13.0″ 東経138°56′14.2″
位置は、2.5万地形図にあるので省略。
滝の高さは、約40mということでしたが、ひと目高すぎると思いました。測距儀とブラントンコンパスの角度測定で、測定値26.2m。急いで測ったんだが、あとで、別の方法で写真で測定して、26mなので、測定はまあいいのでは。目測では20mぐらいかなと思ったから、まあ、目測は当てにならないということですね。
滝付近よりN70°Wの地形変換線があり、断層または、岩質の変化を示すのでないかと」考えられるが。
この柏木層群のブロック内では北に下部層があり、下部のチャート及び珪岩よりなり、上部は緑色及び黒色準片岩よりなるのでその境とも考えられる。
  早滝   神流町塩沢 
 三波川の支流、塩沢川の上流にある。
 

水系:神流川水系塩沢川
流域面積 1.37Ku
地質・岩質:
 秩父系北帯柏木層群・準片岩化した赤色チャート
地質構造:ほぼ垂直に近い地層?

遷移点の形:本流型の滝。単一の滝。
滝面の形:
 24m(測定値) 線滝 直下型円弧状
 滝の高さは、40mということでしたが、どう見ても高すぎ。測定値は24mでした。

緯度経度(世界座標):北緯36°08′19.1″ 東経138°51′40.0″
地図はこれ
国土地理院2.5万地形図「神ケ原」+5万地質図「万場」より作成


遷移点の成因:
  不明。塩沢川が上吉田層群の硬砂岩を侵食してきて、上流の断層をこえて、柏木層群下部の準片岩化したチャートにあたったため・・・かなあ。

 断層を境にして、
柏木層、(チャート質準片岩・・・要するにチャート質の岩石)と、
上吉田層(砂岩泥岩ほか・・・ようするに普通の泥岩っぽい岩)
とでは、山の高さ、斜面角度が違います。

 断層の位置は、地質図で入れたんですが、図の北東では、北にずれて、道沿いの谷(赤点:滝、この滝にも行こうと思ってます。今度下見しようと計画中)に沿ってるんじゃないですかね。地形から見ると。
 白水滝  神流町 叶山麓 白水トンネルの入口付近
 三波川の支流上流にある。地下水型の滝。
 叶山の石灰岩体の岩峰をなしているが、その北面、巨大な岩壁下部からの湧水による。
断層直上の洞窟より湧水し、その下の、秩父系北帯万場層群 輝緑凝灰岩上の斜面を流れ、神流川支流に懸谷の形で流下する。

水系:神流川水系支流
流域面積 測定できない。
地質・岩質:石灰岩の洞窟より湧水。秩父系北帯万場層群 輝緑凝灰岩上を流れる。
地質構造: 記述の必要なし
遷移点の成因: 記述の必要なし。
遷移点の形:侵食されていない。
滝面の形:滝面上に草や潅木が生えていることからわかるように、水しか流れない水量の変わらない滝。礫も砂も流れてこないので、侵食力がなく、極めて無能な滝でしょう。滝面は、ほとんど侵食されていない。
地図はこれ。国土地理院2.5万地形図「両神山」+5万地質図「万場」より作成
緯度経度(世界座標):
北緯36°08′19.1″ 東経138°51′40.0″

ここからの、叶山北面の断層面の大岩壁は一見の価値ある奇観です。・・下は、白水滝より見上げた岩壁。

  大岩壁 について
 石灰岩からなる、東西方向の断層面が掘り出された同じ方向の大岩壁です。
 2万年前ぐらいから、神流川の下刻に対応した侵食によって掘り出された地形なのでしょうが、岩壁は、南北方向の断層の凹み以外は、侵食溝の凹凸がない形です。・・・東西方向の断層面に沿って剥がれて岩壁ができた後、あんまり変化してないということなのでしょう。
 一般に、崖というものは、崩れている最中なので新鮮で、植生に覆われないのだ、と言うのが常識ですが、この崖について言えば、ずっと昔からある古い地形なのに、急でほとんど崩れず、草も生えないということになりそう。不思議です

「叶後の牢口」について。・・・かのううしろのろうくち、と読む
 左図の左に見える、細い切れ込みが、牢口。上の地質図の南北の断層に対応している。断層面が侵食されてでできたということになっているようですが、断層に沿って山が割れて割れ目が開いてできた地形ではと思います。断層面を掘り出して作った割れ目にしてはシャープすぎる。

 <さらに、考えたこと> 040920 追加
 では、右上の切れ込んだ割れ目はなんじゃ? ということになるが、地形図ではずいぶん切れ込んでいますが、地質図には断層が描いてありません。
 断層が確認できなかったので記入しなかったのかもしれませんが、また、割れ目が上のほうだけで下にまで届いていない、つまり、断層でないから、記入しなかった、とも考えられます。
 つまり、上部だけ割れた割れかけであると考えると、石灰岩体が侵食によって、周辺の地層がなくなって屹立するようになったので、叶山の東端部分が、自分の重みで割れて傾いているのではないかと思えます。
 そう思ってみると、上の画像は、歯ぐきが駄目になったので、各々の歯が、グラグラと将棋倒しになりつつある私の下顎の歯のレントゲン写真風に見えますね。
 とすると、地質図の南北性の断層は、東西方向の構造性の断層とは時期も成因も違う、最近の重力性の割れ目であるってことになるなあ。 (^.^)・・・・なかなか、面白い。
山中地溝帯の中生代の地層と滝 ・・・竜神の滝   
竜神滝 山むこうの一合滝などの滝の岩石は、関東山地の滝の定番、チャートや石灰岩ではありません。礫岩・砂岩の地層で、山中地溝帯というベルト状の中生代の地層の分布域にあたります。
 山中地溝帯ってのは、秩父系北帯(赤久縄山、叶山、二子山など)と秩父系南帯(両神山、秩父御岳山以南)の間にあって、旧中里村から秩父の小鹿野町にかけてのやや低い山地(間物沢、野栗沢、河原沢川などの流域)になっているところです。地質学上は、有名なところで、恐竜化石の出る地層でもあるんですが、どうでもよいことなので、一般には誰も相手にしませんよね。
 という地質区なんですが、滝の立地からいうと、両側の秩父帯北帯・南帯とは、成り立ちが違うため、同じ中生代の礫岩・砂岩の地層でも、秩父帯北帯・南帯ではボロボロの岩であるのに対し、山中地溝帯中生層では、緻密な岩石になっています。
 また、山中地溝帯には、チャートや石灰岩はありません。

 北帯・南帯は、成り立ちが、プレートの付加体なので地下でめちゃめちゃに構造運動で揉まれていて、砂岩や泥岩の地層は、割れ目だらけの、すぐ崩れるぼろぼろ岩になってしまっていて、懸谷の滝ぐらいしかできません。滝のできるところというと、一部に含まれているチャートや石灰岩などの硬い層の所だけです。
 それにたいして、山中地溝帯の地層というのは、中生代に北帯・南帯の両方が陸化して陸地化していた時の、南北の陸地間の入海だった所に溜まった地層です。 地層堆積後、両山地から圧縮され、入海の幅が縮まり、地層はものすごく褶曲させられ、縦横に断層が入った状態で固結しているのですが、岩石そのものは、地下で圧砕されてないので、割れ目が少ない状態です。浅海だったので、チャートもありません。
 つまり、山中地溝帯の地層は、そんなに硬くはない礫岩、砂岩、泥岩などできていますが、岩石自体に割れ目が無いので、北帯・南帯の破砕された岩石とは異なり、礫岩・砂岩層が緻密で、結構硬い地層として機能し、滝を作る地層になっています。
 山中地溝帯の地層は、石堂層 瀬林層 三山層という地層が主ですが、その内の、石堂層(礫岩・砂岩)が他の地層より侵食に強く、滝を作る地層になっています。
 <図は、龍神滝下滝の地層 石堂層の砂岩。表面が茶色くなっているのは風化して変質している部分。層理に沿って割れていますが、なかなk緻密です。ほとんど垂直になっていることも、効いている・・・水平だと層理面に沿ってはがれてしまうので滝を作らない。>
竜神の滝   上野村野栗沢
 三波川の支流、野栗沢にあり、国道の橋から右岸のキャンプ場から簡単にいける。
 水系:神流川水系野栗沢
流域面積 15.34Ku
地質・岩質:
 山中地溝帯の石堂層・砂岩
地質構造:80°ぐらい急斜した順層。断層にも関係あるかもしれません。
遷移点の成因:本流型の滝。
遷移点の形:本滝・下滝、2連の連瀑。
滝面の形:
    本滝8m 下滝4m :目測なのであやしい。
    本滝線滝 円弧状 全面滝壺。
    下滝 面滝 複合型壁型全面滝壺 両溝型になりかけ。

地図(2.5万両神山)に記載があるので省略。
緯度経度(世界座標):北緯36°08′19.1″ 東経138°51′40.0″

立派な滝です。
 更新履歴  040907 作成開始 040915 一応完成

 2005滝めぐりおしらせ02へ  HPトップへ    滝を観るHP(別HP)へ