20141228 アップ 

滝おやじの地形見物記・千葉県外篇  目次へ
地質地形展望記録(短報)
   北上山地 遠野盆地周辺 二郷山
ホルンフェルスリングの山
岩手県遠野市

撮影・作図・著述 滝おやじ による。
2013年に、遠野盆地に行った時の記録を元に作成しました。

 「地質地形展望」の趣旨
 「山をどう見ているのですか」とよく聞かれるのですが、私は、多面的にたくさんの手段で見れば、発見があり、新発見の宝庫だと思っています。
 平凡に見える山でもそうですから、観光地になっているような山は、その良さが全開、人様の2倍は景色を楽しめます。
1.まず、目で見る。
2.地形図で見えないところまで見て、地形の全体・部分の様子を把握。
3.地質図で地下を透かして見る
4.地すべり分布図で、現在の山の壊れている様子を見る
5.地形分類図・地形面分布図で、地形の発達史をあとずける。
 2〜5は、山を心の目で見るということですが、この見方の楽しみは、地球の地表の豊かな姿=「地形景観」を心の目でストックする楽しみであると思います。 更にいいことは、その時だけでなく、後で、机上で追体験できて楽しむことができますし、現地で撮った画像が、心の目でどんどん内容が豊かになっていくということですね。
 眺望記録
 北上山地は、山も川もとてもきれいな所で、とりわけ、遠野盆地の山と谷は、ほんとにいいですね。「山高きが故に尊とからず、秀麗をもって良しとす」という感じです。
 2013年9月 岩手県北上山地の中にある遠野盆地(遠野市)に行き、遠野盆地の巨岩を見て廻った時の展望です。
 
 遠野市綾織で、国道396号線(遠野街道)から、猿ヶ京川の谷底平野越しに、二郷山(ふたごうやま)を眺めました。 あいにくの雨模様で、山頂にもほとんど雲がかかっていて、なかなか全景は見えませんでしたが、ひととき雲が晴れ、姿を観ることができました。
 二郷山(637m)は、遠野盆地を排水する猿ヶ京川の谷を、花巻市から遡ってきますと、盆地の入り口に門番のように聳えている小高い山です。双子山とも書くように双耳峰で、急な山頂付近には露岩が目立ちます。

 この辺の地質は、古生代の堆積岩に中生代の花崗岩:遠野花崗岩体が貫入したもの。
 遠野盆地は、貫入した遠野花崗岩体がマサ砂化して、猿ヶ京川に侵食され、周囲の古生層山地に比べて低くなり、盆地状になった地形です。

 花崗岩が貫入した時に花崗岩体の周りの堆積岩が熱を受けて変成し、硬いホルンフェルス(角岩)となったのです。
 そのホルンフェルスの部分が侵食に抵抗して掘り出され、花崗岩体の周りをぐるりと囲む山列・・・ホルンフェルスリングと言います・・・となっています。
 二郷山はそのホルンフェルスリングの一峰です。
 
 綾織の国道からは、この山をホルンフェルスリングの断面として、観ることができます。

  眺望画面では、左手の新田山は、花崗岩の山で、特徴的ななだらかな山容と細かい山襞なのに対し、右手の二郷山は、より高く、急な山容と谷の少ない斜面が対照的です。

 花崗岩体とホルンフェルスとの境界が、地形の変換線としてはっきり認められます。

 なお、対岸の新田山に郷山の麓や、撮影側の山麓には、崖錐より緩やかな傾斜の「山麓緩斜面」が発達しています。
 撮影地点手前の水田や背後の集落はこの山麓緩斜面上にあります。

 この地形は、氷期に周氷河地形として形成されたもので、北上山地では至る所に見られました。

私のいる関東地方では見られない地形ですので、地方色を感じました。
                     (以上)
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