茶臼岳、現地資料 2008/06/01 by 滝おやじ |
<観察スポット> 1.茶臼岳ルート図 2.ロープウエイ駅駐車場から展望 3-4.山頂駅から牛ヶ首間での地形地質、植生の景観 4-5.牛ヶ首から日の出平の地形地質、植生景観 (つけたし1) 乙女の滝 10.那須山の参考書・・・地学関係・・・ |
1.茶臼岳ルート図 | ||
地点2.ロープウエイ駅駐車場から展望 | ||
駅の駐車場より展望 360度画面です。 現在地点(上の図の○2)を確認して、眼前の地形を、地質図と比較対照して見ましょう。 地質図を持って歩くと、ここが面白いところです。 駐車場は、火砕流原(火砕流の堆積面)上にあり、前面に、厚い溶岩流の末端崖が見える。 朝日岳〜鬼面山の崖がカルデラ壁。 この地形全部が、約3万年前からのもので、火砕流溶岩流は5800年前にできたとのこと。 火山てボコボコできちゃうんですね。 滝おやじ撮影及び作成 |
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地点3-4.ロープウエイ山頂駅から牛ヶ首間での地形地質、植生の景観 | ||
1.ロープウエイ山頂駅からの展望・・・地質図、植生図と比較すると面白い。 カルデラ壁を望む 0202
俯瞰 火砕流原を望む ■火砕流原 平坦面、末端のがけ 0204 火砕流原、溶岩流原、・・・・地すべりや構造戸などは観察記録 いろんなアングルを合成してあるので、1箇所からは甲は見えません。 2.溶岩流原と火砕丘の地形 溶岩流原を望む。 ■溶岩流原 0221 道より下 5800年 上に凸の断面、縦断方向の勾配が緩い。境界は溝状。露出巨礫が少なく、階状土が発達。 画面中央より右下角方向の砂礫地は、上の火砕丘斜面より流出している土石流の堆積面。 礫が多く、全体が露出しており凍上礫となっている・・・後述。 植生の発達と微地形については後述 火砕丘斜面を望む ■火砕丘斜面 0222 道より上。 2600年 3.分かれ道あたり 火砕丘と溶岩円頂丘の地形 茶臼岳を望む 0203 3301 火砕丘と円頂丘の境 火砕丘斜面と白い変質部分、円頂丘下部 3302 傾斜変換線 岸壁 火砕丘の頂上部分は白く噴気で変質している。 噴気孔の位置・・・・・境にある。 □0231 4.凍上した巨大礫 霜が押し上げている。 埋まっていないのに注目。 動いているのみいるかもしれない・・・・・霧ケ峰の巨礫 □0241 5.凹地と土石流堆 斜面と谷(土石流堆積面)の巨礫、植生 ←火山斜面は、細粒物質が多いのでは。土石流堆積面は細粒物質が少ないのでは □0251 6.牛の首からの眺め 噴火口、円頂丘と火砕丘・噴気孔、非対称稜線 がよく見える。 □A3106 <牛の首付近より茶臼岳> 円頂丘、火砕丘、噴火口、噴気孔、手前の古期山体 カルデラ壁を望む ■ 西側 0261 ■ 東側 0262 7.日の出平への稜線:古期火山の山体 ダケカンバ林に覆われる。ハイマツが少々。 現役の非対称山稜(向きが逆) □0471 多雪山地と非対称山稜の向きが逆である。 樹林のある稜線の非対称形 →風上が急で、風下が緩い。・・・多雪山地の風衝斜面や化石周氷河 斜面と逆 那須の様に、寡雪山地だと、 樹林に被覆されると、風上側が風化作用が強くて急になり、風下側は積雪により保護されて緩斜面となる。のでは? 草原・荒原のばあいは、風下に積雪が少なく、日向側の凍結融解作用が強くて斜面が表土の移動により、傾斜が緩くなる・・・・のでは? 8.カルデラ外とカルデラ内の植生の違い ◇4011 樹林がスクラムを組めない。偽高山帯の低下。 □4081 新旧の火山体での植生の激変 ・・・ハイマツやダケカンバ林 □4082 手前斜面が新期の茶臼岳火山体の溶岩流斜面。高山荒原に裸地(階状土の平坦部)の、樹林の無い植生。 凹地を隔てた向こう側斜面が南側の南月山側のカルデラ壁斜面。旧期火山体。ダケカンバ林よりなる。 新旧の火山体で、植生の状態がきれいに分かれている。 この理由として、 ハイマツの林が噴火で破壊された説の疑問 看板と文面□4083 立ち枯れた木□4084 歴史地理の記述・・・・硫黄鉱山と精錬場 枯れ木の存在は、ハイマツ帯があったとしても、全面覆われていたとは思えない。 ハイマツが進入し立地することができたとしたら、再度進入することに充分な時間が過ぎていると思う。 噴火による破壊が、きれいに地形と地質に対応するとは思えない。 9.茶臼岳東西での植生の違い □4091・・・模式図 ◇4092・・・・風衝草原。稜線部分は無植生 非対称山稜で、多雪山地の非対称とは向きが逆。吹き溜まりが無い。 □4093・・・見下ろしたハイマツ帯 10.階状土の発達 <溶岩流原上に発達する階状土> 階状土の定義 地形学辞典曰く: 冬季の風で植生が枯れ、裸地ができると砂礫が対流移動して傾斜方向に押し出し草で止まる。 裸地の平坦面と草地の急斜面の階段状の微地形ができる。 典型的な周氷河地形のひとつ 表土の破壊→直線的な小崖。条線土 <階状土の段> ガンコウランのおおい 土壌層がなく、根だけ。 □4102 12.シャクナゲや低木が雪の塹壕にこもっている。・・・・微地形と植生 3202 0322 偏形樹 0323 |
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地点4-5.牛ヶ首から日の出平の地形地質、植生景観 | ||
日の出平への稜線:古期火山の山体 ダケカンバ林に覆われる。ハイマツが少々。 現役の非対称山稜(向きが逆) 多雪山地と非対称山稜の向きが逆である。 樹林のある稜線の非対称形 →風上が急で、風下が緩い。・・・多雪山地の風衝斜面や化石周氷河 斜面と逆 那須の様に、寡雪山地だと、 樹林に被覆されると、風上側が風化作用が強くて急になり、風下側は積雪により保護されて緩斜面となる。のでは? 草原・荒原のばあいは、風下に積雪が少なく、日向側の凍結融解作用が強くて斜面が表土の移動により、傾斜が緩くなる・・・・のでは? |
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9.(つけたし) 乙女の滝 | ||
下見にもいけなかったので、ぶっつけ本番用の資料を作った. 、それも行かないことになったので、全く無駄になってしまった資料なのですが、まあ、もったいないので出してしまいます。 資料として、観光写真が1枚あるきりで、滝についての資料ゼロにつき、単なる予想です。・・・・いわゆる「滝の本」の内容は、全然役に立たない。 (1) 名称について 「乙女の滝」という名前は、実は全国に多くみられます。たいてい乙女伝説になっていて、この滝もその手のことが観光案内に書いてあります。 そんなものに関係はなく、「お留め」「御止め」からきた地名で、いわゆる「魚止めの滝」のことです。 (2).岩質と滝の変遷について 写真から読図すると・・・・下見でいけなかったので、私も始めて見るのですが・・・・薄い溶岩と火山礫角礫岩の互層を削っている沢名川が熔岩層に当たって一時止まっている状態。 熔岩層は、南月山火山の黒尾谷溶岩・・・・以前、この溶岩が那珂川溶岩といわれて、物凄く長く流れたことになっていたが、否定されている。 この滝の場合、溶岩の下の未固結層が分離して熔岩層がオーバーハングして垂直に割れていくことで滝が後退している。滝面は常に壁状で直立またはハングする。滝の停止時間が長いと、滝下に馬蹄形の滝下広場が形成される。このタイプの滝は、火山山麓によく見られる滝である。 また、川は、河床に見られるように、大きな円礫を流しており、土石流により巨礫を流す火山麓扇状地河川である。 侵食力は大きいのだが、硬くて緻密な熔岩層が滑り台のようになって、土石流河川のエネルギーを柳に風とやり過ごしてしまうので、滝の後退に土石流の影響が少ない。・・・・・一般の山地河川では、均質で緻密だが、硬さは低い岩石が多いので、滝の後退の様式も滝の形も異なってくる。 ・・・・まあ、火山の滝ってのはあんまり面白くないですね。(^。^) (3).滝と関谷断層の関係 沢名川の位置が直線的ですが、関谷断層線に沿って侵食しているため。 この断層は、上流の沼原部分では、基盤岩と火山体との間に段差を作って、そこに流れてきた溶岩が厚くたまって、できた平地の凹みが湿原化しています。 |
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8.那須山の参考書・・・地学関係・・・ | ||
羽田野誠一・田中耕平(1989)対談・筑波山のプロファイル TAGS(筑波応用地学談話会十周年誌) 1. 66-75 八田珠郎・木股三善・松倉公憲・谷津栄寿(1981)筑波山周辺における深成岩の風化について 鉱物学雑誌 特別号 15.202-209 |