2003年友の会滝めぐり観察会・秋川渓谷・石空川渓谷の下見記録
分類 その4 甲府盆地、日川の竜門峡の下見アルバム (1/2) 作成更新 new 021201 つづく 2/2 休戸滝・蜘蛛淵・山越し富士などへ、飛ぶ
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 02/11/10 滝之丞氏と下見をしました。

所在地は、山梨県大和村。笛吹川の支流、日川は大菩薩嶺を水源として、花崗岩の山地を南流し、笹子峠近くで西流し
て甲府盆地に入り、笛吹川に合流しますが、その西流する部分にある遷急点部分の峡谷です。
山奥にあるのでなく、日川の扇状地のすぐ上流にある、甲府盆地への出口に近い峡谷です。 峡谷の上の斜面は、
人里で、武田氏滅亡の地、田野・木賊地区。峡谷入口近くに、古戦場、片手切り、出口は、木賊の栖雲寺というお寺。
現在、蜘蛛淵の上流に、巨大な木賊堰堤ができて、峡谷の上半部は埋没・破壊されてしまったと思われます。
途中、発電用の取水口などもあって、かなり人工的に痛められている川ですね。
 花崗岩とホルンフェルスでできた峡谷と言う事なので、ホルンフェルスの滝がよく見られるのでは、と行ってみたんの
ですが、ホルンフェルスの滝の発達は、南秋川の三頭沢の滝ほどでなく、むしろ、節理の間隔が荒い、花崗閃緑岩の
峡谷と滝 という点に特色がありました。

まずは、看板。名所は、竜門滝、千賀岩、天狗淵、落合三つ滝〔ここまでが1/2〕、
(ここから2/2)平戸の石門、休戸滝、蜘蛛淵
があり、その上に、木賊堰堤が川をせき止め、上に出ると山越し富士。 

峡谷入り口の看板。写真入りで、分かりやすい。
→途中にある、古い看板。地形も間違っているし、距離感覚も不正確でひどい看板である。
下流側の入り口から順に、

入り口の橋から下流の日川渓谷の斜面と谷底。
竜門滝〔男滝〕と女滝   橋のすぐ上流で、大蔵沢が合流し、本流と大蔵沢出会いにそれぞれ滝がある。
 この2つの滝を、総称して竜門滝といい、男滝と女滝と分けているということです〔下の赤松さんからの情報参照・・ありがとうございました〕。 
 本流の滝〔男滝〕を、竜門滝としている案内書がおおく、竜門滝=男滝というのが一般化しているようなんで、いちいち断るのも面倒なので、以下では男滝を竜門滝と書くことにします。
 いずれも、節理間隔が広い花崗閃緑岩。 滝高測定値は、竜門滝は11.7m。
 女滝は14.3m〔滝下の埋没分を入れると15.5m〕。・・・両滝とも、今まで、測定値はなかったようですね。

 瀑布帯構成は、本流で、下滝2、1.6m.。下滝1、0.5m。本滝〔竜門滝〕11.7m。 
 大蔵沢出合〔女滝下滝〕が、0.5m、本滝〔女滝〕が、15.5m〔下部1m埋没なので、14.3mでもいいかな〕
<竜門滝の名称についての、房総滝人間赤松さんからの掲示板書き込み> 2002/12/2<月>
・・・〔前略〕・・・竜門の滝は、男(雄)滝と女(雌)滝の二つの滝の総称だそうです。下が、10/16付けの大和村企画観光課からの回答です。
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竜門の滝について回答させていただきます。
ご質問のありました竜門の滝については、ご指摘のとおり二つの滝の総称です。私たちは上流に向かって右側を女(雌)滝、左側を男(雄)滝と呼んでいます。東京電力が発電用に取水しており、水量が少ないのが残念です。
 全景。左が日川本流の竜門滝 11.7m。
     右が 大蔵沢出合の 女滝 14.3m。

 手前の小滝が、竜門滝下滝1 0.5m。

 このすぐ下流に、下滝2 1.6mがある。

竜門滝の上の橋は、東京電力の発電用施設管理の橋。

滝の立地成因としては、本流型、支流懸谷の滝ですが、大きな支流の合流点のすぐ上流に、滝ができるタイプで、急に水量が減少するために、滝が残されることによる。
 竜門滝の上には、上滝の連瀑帯〔比高約15m〕がある。
 両滝の滝面とも、花崗閃緑岩の節理面が滝面になっている。節理間隔が広いことに注目。

竜門滝

大蔵沢出会いの滝 女滝
<滝を作る、花崗閃緑岩の岩相>割れ目が少なく、まばらに入っています。
  節理の割れ目間隔が広い。 ・・・この結果、間隔の狭い節理の花崗岩系の滝より、より、荒っぽい、直線的な面と線でできた滝となっている。

女滝の地形について、掲示板で、赤松さんと話し合ったので、参照してください。
 http://s03.as.wakwak.ne.jp/bbs/mkres5knx/mkres5k.cgi?11921338

女滝の地形は、まばらに割れ目の入った硬い岩石に、あんまり水量のない川が堀り込んで、割れ目に沿った溝と、割れ目の面が露骨に露出している滝の形と要約されます。
<竜門滝の下滝2>
 1.6m。  です。

 河床は、花崗閃緑岩の巨礫でおおわれ、滝の所しか露岩が出ていません。

<礫層の写真>
 竜門滝の下流右岸側には、河岸段丘がついていて、河床から段丘面まで厚い埋積礫層がみえます。
 花崗閃緑岩の巨礫でできた礫層で、礫層トップと滝の頂上とは高さにあまり差がなく、段丘面が河原だった時代には、連続した地形だったと思われる。
 段丘面を下刻する時代になって、礫層の部分はスイスイ削ったが、竜門滝のところで、基盤にあたってしまって、下刻しそこねているとも考えられますね。
 今んところ、一見しただけなので、なんともいえません
竜門滝上の連瀑帯  遊歩道からは全貌が見えなくて残念。
竜門滝の上には、上滝1から7 の7つの小滝が連瀑帯を作っています。

上から目測したのみですので、滝の高さはあやしいですが、
 上滝1:2-3m。上滝2:4m?。上滝3:2m。 以上が、竜門滝の直上で、東電の管理用橋の付近にあり、その50m?ぐらい上流に、上滝4から7が、2m、4m、1m、2mで近接した連瀑になっています。4mの上滝5は両溝型の美瀑。
 この滝へのルートがないのが残念です。

→図参照〔未作成〕
この画像は、上滝4と上滝5が見える。

この上流は、かなり上流の、休戸滝まで滝がない平坦な河床になります。
ということで、竜門滝とその上滝・下滝で、1つの瀑布帯になっている。
この竜門滝の瀑布帯は、本滝が1つ、下滝が2つ、上滝が7つで、総比高26-27m。
 扇状地帯のすぐ上に、25-30mぐらいの小さな遷急区間があるというのが、もしかすると、甲府盆地にながれこむ河川に共通してみられる事じゃないかしら、・・・最近の段丘面との対応があるんじゃないかしらとちらりと思ったりしてます。
・・甲府の方、どなたか教えて。(^0_0^)
甲府盆地に流入する川の遷急点→25.30m程度の遷急区間〔瀑布帯〕→遷急点より上流の河床縦断面に対応する埋積段丘面と礫層→扇状地の段丘面 といった、関連ある地形が作られているのでは? ・・・気候変化による地形だろうなあ。
・・・以上、絵に描いた餅デス。
東京電力取水口
 
 突然現れる人工物。
 ここで取水しているので、水が少なくなっているとのこと。
岩石の変化 花崗閃緑岩からホルンフェルスへ
千賀岩付近の曲流部分にホルンフェルスが出てきます。その上、下流は花崗閃緑岩。
曲流の理由も、もしかしたら、ホルンフェルス。
ホルンフェルスってなに・・
ホルンフェルスの岩相画像・・・未完
ホルンフェルスの顕微鏡写真・・・・未完
竜門峡の岩質図・・・・未完
落合三つの滝     なかなかきれいな滝なのだが、F2から上は取り付けないので、残念。
焼山沢〔看板には地獄沢とも書いてある〕の、本流合流の瀑布帯。
下から見えるのは4連の連瀑。
 下流から、測定値です。
F1:10m〔左の画像〕、
F2:4m〔右画像の手前〕、
F3.4:7.5mと4.1m〔右画像の奥〕
で総比高 27m。
  画像のように3つに見えるから三つの滝なのでしょう。
 落合三つ滝とまとめて呼ぶなら、落差 27m。ということになりますが、結構離れているし、下から3つとも見えるということもないので、普通に考えれば、3つに分けて、一の滝10m、二の滝4m、三の滝11.5mというほうがふさわしいと思います。

なお、F4の上はどうなっているのか、下から登れそうもないので、分かりません。一応、F1を本滝。F2以上を、上滝1・2・3としておきます。
岩質は、F1の下部は花崗閃緑岩。F1の頂部から上が、取り付けないのでわかんなかったが、ホルンフェルスらしい。
 
落合三つ滝の推定地質断面図。

水平0m地点は、日川の合流点。
 地形断面は、測量しましたが、間接測量なので、精度がやや落ちます。
 懸谷の滝が侵食が進んで支流型の滝の瀑布帯になっていることは、一目で分かりますね。
 ところで、岩質は滝面の所を遠目で見ての推定。滝の間の河床の岩質は?で、地下でどうゆう構造になっているかは、全然分かりません。また両岸の岩質も取り付けないので分からない。
 千葉県の谷のように、堆積岩なら、地層が連続してるから河床さえ見ればそれの連続ということで谷壁の地質も推定できるんですが、花崗岩とホルンフェルスの接触部分となると、混じり合った立体的な構造してるから、河床も谷壁も全部にさわって確かめないと、どんな構造なのか想像もできません。ところが、気軽には取り付けないんですよね・・危なくて。 ・・こうゆうのは歳取ってからやる仕事じゃないですね。・・・猿でも飼い慣らして助手にしようかしら。

<考察>その辺が分からないので、「ホルンフェルスが、硬岩としてキャップロックになっているので滝ができた」と既成観念で速断するのは危険。
 F1はそうかもしれないけど、F2〜F4には当てはまりません。むしろ、F1より上の侵食量が大きく、ホルンフェルスの部分の方がたくさん削られている、ようにみえることに注意する必要がある。
 たとえば、滝上の空中になっている所が、花崗閃緑岩だった可能性もあり、そうすると弱岩を掘り出した滝になる。ホルンフェルスの侵食は見せかけということになります。こっちの可能性もかなりあります。 まあ、結論出すには、データ不足ですね。
 千賀岩・天狗淵など・・・・ウーーム。記録撮ってません。もう一度、行った時に見ておきます。
  2/2  休戸滝・蜘蛛淵・山越し富士へ、飛ぶ。
 更新履歴  021201 作成開始。 05 大幅補修・追加

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