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20040713 あぶさんより頂いた情報 海沢川の不動滝、井戸沢のF3について・・・岩質の観察
040712にあぶさんが、海沢川に行かれるとのことで、岩石の写真をお願いしたところ、F3や不動滝の画像情報を下さいました。まことに、ありがとうございました。
せっかく頂いたので、皆様にも、観察の様子をおすそ分けいたします。

・・・・岩質をよく示すために、あぶさんから頂いた画像を、画像処理しましたので、画像が変化してしまっています。ご覧のように書き込みもしちゃったしね。本当の姿は、あぶさんのHPの滝の写真集、奥多摩町の項 で見てください。
海沢本流の不動滝と岩茸石の滝・・・チャート層中の断層線と滝の立地

海沢川の大滝〔こちらのページにあり〕の上流に、支流の岩茸石沢からの岩茸石滝と、本流の不動滝があります。遊歩道が無いので、行った人は少ないのでは。私、行ったことがありません。その様子。

大滝の滝上より、上流を望む。

岩質はチャートです。・・・・実は、写真だけで見て岩種が分かる訳ないので、地質図で見て知ってるだけなのですが。
矢印入れた一枚岩なんかの具合がいかにもチャートっぽいです。

また、画面で2つの矢印の向きの断層面・割れ目とCDの向きの断層があることが分かります。地層の中に賽の目状に立体的に割れ目・断層が入っているのがわかります。
 川は、この立体的な割れ目のうち、都合の良い割れ目に沿って、掘り込んで行くわけです。

この画像で見ると、断層面(A−B方向)に沿って河道があり、突き当たって、直交する別の断層、C−Dに沿って川が曲がって、不動滝になるとのこと。
曲がり角には、岩茸石沢からの岩茸石滝が懸谷の滝になって落ちているが、、岩茸石沢の下流が、C−Dの断層線に沿っているのでしょう。

断層面(A−B方向)は、大滝の形を決めている断層の続きだと・・思う。

 不動滝

 
不動滝の滝面。

 右手の滝崖の岩が、オーバーハングに傾いた平面。このようなオーバーハングした一枚岩は、緻密で崩れないチャートでできた微地形の特徴です。・・・花崗岩は一枚岩をよく作りますが、オーバーハングはしません。
 この平面は、割れ目・断層面で、C−Dにつながるのでしょう。

 この滝は断層に沿って細かく割れた比較的弱いところを掘り込んできた滝と思われます。
 大滝の下のネジレ滝と似ています。

右手の→は、あとで書く、層状チャートの葉理面のようです。
井戸沢の滝。F1、2、3

海沢の支流の滝で、F1−3が瀑布帯を作り、本流との懸谷遷移点になっています。
岩質はチャート(地質図から)・・・しかし、あぶさんの写真からだけでもチャートと言い切れるぐらい露骨にチャート顔をしています。

←F2の近接写真

海沢の・・というか奥多摩のチャートの多くは、層状チャートと言われ、
より石英質の半透明な薄い層と、より泥質な黒っぽい薄い層とが、何層も重なってでできている岩石です。
その層状チャートの顔つきが明瞭です。
 この瀑布帯では、不動滝のような、断層や大きな割れ目に沿って川が出来てないようで、画面にそれらしきものが見えません。谷の位置と断層線などが一致しないことはよくあるので、それでよいのですが、その結果、掘りやすい所が無く、滝を削れないで川が苦労しています。

F1・F2は、連続する懸谷の滝。 いずれも、チャート層の割れ目・断層とは無関係な位置に河道があるので、硬いチャートの面を苦労してくぼめています。

F2なんかは、その典型で、層状チャートの境〔葉理面というのかなあ〕と、滝面が葉理面と一致する方向なんですね。
つまり、割れやすい所が滝面の表面にないので、地道に硬い表面を削るしかない状態なわけで、滝面は急で細く高い滝面になるというわけです。

滝の左側の滝崖には苦労して葉理面に沿って壊してた滝面を後退させた跡が見えます。
  井戸沢のF3

あぶさんが教えてくださった文章です。
井戸沢F3は横を向いており,滝自身はほとんど見えませんでした。滝は斜めになった層状(一枚が十数cmの厚み)の岩を掘ったような水路を流れていました。・・・全体の感じはちょうど岩がくりぬかれたようなドーム状の水路です。屋根付きの滝みたいで面白いです。
落差は15mほどかなぁ?と思いましたが,落ち口が回りこんでしまって滝つぼからは見えないので分かりませんでした。滝つぼには大きな深い釜があります。
先日,海沢谷の大滝の上の不動の滝も見てきたんですが,岩の感じは井戸沢のF2ににていました。関係があるんでしょうね,やっぱ。』

観察されたとおり、岩質は、不動滝や、下流のF1、2と同じ、層状チャートです。秩父系のチャートというやつで、中生代の地層。奥多摩では、神戸岩から東、大岳山川苔山、高水三山など、で広く見られます。

 なんでくぼんでいるんだか、わかればと思いまして、
あぶさんが、滝の下流から組み写真で撮ってくださったので、合成してみました。

広く見えるように、組んでみました。
葉理面は滝壷付近では褶曲してます。 滝の下流ではほぼ垂直だが平行しているようにみえます・・・・実はそこも褶曲していて、この画面内で2個か3個の褶曲断面があるんじゃないかと思います。・・・近寄って、叩いてみないと分からないが。
 ただ、褶曲軸の方向が画面の矢印の葉理面と平行のようですので、葉理面の向きはだいたい一定で
矢印の頂上の線のように、画面奥から手前にかけての向きのようです。
 すると、滝面は、F1、2と違い、葉理面との関係では、葉理面の断面方向を流れていることになります。
 そのため、滝面が、急でなく、何段にも別れて、全体として勾配がゆるい滝になっているのであろうと思います。
 滝の上の岸壁が張りだし、くりぬかれたような水路になっているのは、崖の基部に他より弱い葉理があるせいではと思いますが、見えませんね。
滝壷部分がオーバーハングしているのは、屈曲点での攻撃斜面にあたり掘り込まれるからでしょう。
<感想>
滝を調べると、滝のいろんな所に手を触れなければならないので、奥多摩の滝を調べたら、命がいくつあっても足りなさそうですね。