滝巡り記録 その4 もどる つぎへ もくじへ |
海沢渓谷の滝の観察 予備知識 作製 |
まずははじめに ●海沢渓谷のもろもろ |
●なぜ、海沢川か 多摩川で遊歩道があるのは海沢渓谷だけだというので決めました。論文もあるしね。 この渓谷の滝は、とにかく細身の綺麗な滝で、チャートの滝面の滝という房総とはえらく違った谷です。 |
○ 所在: 奥多摩町海沢(うなざわ) 多摩川の支流。 ○ 地形図: 2.5万地形図 武蔵御岳 奥多摩湖 →買ってね ○ 流域 海沢川は多摩川の支流で、流長6.5Km。流域最高は、大岳山1266.9m。 本流との出会いの標高は290m。→流域の比高は970m です。 千葉県の養老川粟又滝の地点で比べると・・ 養老川は流長10.1km。比高255mですから、海沢川は比高は5倍、長さは半分ということになる。10倍にもメチャクチャ急な谷ですね。 海沢渓谷の本流には三釜滝、ネジレ滝、大滝の滝があり、今度見に行くわけですが、河床縦断面を書いてみると、中流に遷急点があり、比高100m+の遷急区間ができているが、そこの所に滝があることが分かります。 流域形は、西側の支流が発達する非対称な形ですが、滝との関係は分かりません。 ○ 地質 海沢川の流域は、いわゆる秩父古生層の(中生代の地層です)海沢層という地層で、チャートと砂泥互層からなっています。 流域の滝は、みなチャートでできています。チャートと滝の立地との関係は密接と思われます |
●海沢渓谷の滝の位置 |
沢登りの文献資料より作成。 |
海沢川には天地沢 井戸沢 本流に沢歩きの対象になる滝がある。 ○本流には、図のように三釜滝(20m5連瀑)、ネジレ滝(12m3連瀑)、大滝(29m)の滝があり、大滝のすぐ上流には、不動滝(15m)支流から岩茸石沢の岩茸石滝(15m)があるとのことで、この部分が、下見報告1で紹介した遷急区間にあたります。 ずっと上流に白糸ノ滝(?m)があるそうで、これが上流の遷急区間にあたります。 大滝より上は未見ですので、高さも不明。 ○井戸沢には、F1.2.3 (6m、20m、20mの懸谷の滝の瀑布帯)があり、F1と2は林道からも見えます。中流に、F4(5m)がある。 F1〜3は天狗岩の滝ともいうが、どれがどれにあたるのか、詳しくは未調査。不明。 ○天地沢には、F1(15m)、F2.3(15m、5m)があります。いずれも、写真で見るとなかなか綺麗な滝です。著作権法違反になりそうなので写真を出せないのが残念。 ○ 沢登りの対象になっていない水量のない滝も含めた図が、酒井(1998)にあります。 |
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これらの滝はいずれも、岩質がチャートでできています。 海沢川の流域は、海沢層という地層で、チャートと砂泥互層からなっています。 チャートって岩は、固くて緻密な岩質なんで、急な細身の滝を作ることが多いようで、千葉の滝と比べると、美人系の滝です。 まあ、若い頃の八千草薫さんといえば、脱皮したばかりのアオダイショウのように、水の精のようなきれいさでしたが、その方とうちのとなりのオッペシ娘との違いぐらいはあります。月とスッポンとはこのことか。 海沢渓谷の滝は、チャートの滝だというのが第一の特徴でしょう。 →井戸沢F1とF2 |
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●2。海沢川の遷急区間と滝の成因と変遷 |
滝の位置は図のようですが、三ツ釜滝・ネジレ滝・大滝の瀑布帯は海沢谷下流の下野の段丘面から下刻した遷急点下の遷急区間にあたります。 成因は2万年前からの河川の下刻によるものですが、現在の遷急区間の始まり(三ツ釜滝はチャート層が始まる所にあり、遷急点が下流から登って来て、岩が硬くなっているチャート部分に滝が残っていると考えられます。 本流の遷急点より下流で合流する、井戸沢・天地沢の滝は、懸谷の滝、支流の滝ですが、本流の下刻に対応した同期の滝に当たります。いずれもチャート層にあたっているので、やはりそこで滝の後退が止まっているわけですが。 |
●3。参考にした文献 |
<地形> 酒井 啓(1998)滝の密集帯の分布とその成因. 東京都の自然 24号 p1-21.東京都高尾自然科学博物館発行 高木信行(1990)多摩川の段丘地形とその形成過程. 第四紀研究 28巻5号 p399-411 <地質> 1/5万地質図 武蔵御岳 図幅及び説明書. 地質調査所 日本地方地質誌 関東地方 改訂版 東京都地学のガイド編集委員会(1980)地学のガイド13 東京都 のX章 奥多摩の山々 1-4海沢より御岳山へ. コロナ社 P196-200 <沢登り>他にもたくさんあるでしょうね・・ 日本登山大系 4 東京近郊の山 白水社 奥多摩27海沢 p159 奥多摩渓谷調査団(1996)奥多摩大菩薩高尾の谷 123ルート 山と渓谷社 P20-23 |
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