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 「滝の地学観察会」アルバム その1:千足沢    
          撮影 石井良三氏   コメント 講師
  石井さんの撮影意図とは別に、ひたすら牽強付会の説ですがお許しを。(^^ゞ
 <天候は・・>天気は、すごくよく、春の景色もうららかでした。
 秋川の谷斜面は、落葉樹の新緑、里は、ツツジとコブシの花盛りでした。
 千葉県人が長いので一言。 「新緑は房総の常緑広葉樹のほうが奇麗だ」と思います。
 色合いが濃く、天ぷらにしたら肉厚でうまそうです。
 歩いていった順 デス
  千足沢出合い〜第3遷急点  出合いの千足沢の土石流扇状地面とそれを下刻した谷沿いに歩きます。まわりの地形や谷底を見下ろしながらゆく。秋川名物の丸石の石垣で、扇状地堆積物が全然見えないのが残念。
北秋川本流

石井さんは一列車早く来たので、
千足付近で待っている間にものしたスナップのようです。
 下流側を望む。左手は本流の段丘面。比高は15m弱。
千足の扇状地面

車を置かせてもらう。
箱尺や距離計をもって出発。
 千足沢の本流出会いで、本流段丘面上に千足沢の土石流扇状地が乗っている地形面
千足沢の谷

歩いているところの土石流扇状地面を下刻した谷斜面。
 向うは、本流の谷。
千足沢の河床をのぞく
 この谷底と扇状地面との比高が、本流の段丘面と河床との比高にほぼ等しく、一番下の第3遷急点の比高になる
山地斜面の侵食前線

山地斜面の傾斜変換線・・・秋川本流の谷沿いの侵食前線。

この侵食前線は、千足沢にも当然あって、綾滝のある遷急点(第1遷急点)に、対応する。
道沿いの基盤岩

 地質図通り砂岩。
結構硬いのだが、割れ目がどっさり入っていて砕けやすい=侵食に弱い。

土石流扇状地面上の巨大礫の可能性もあるんで、岩の下のガリ−をみるべきなのだが、すごく急であきらめ。
同じ 道沿いの基盤岩
 地質図通り、チャート。 固くて、割れ目が少ない=侵食に超強い。
 葉理のある層状チャート。
 この露頭の下に、第3遷急点の小滝群がある。
 
 第3遷急点〜第2遷急点 谷がやや広く浅くなり、崖錐や支流の土石流扇状地が見られる。 
山地なら、どこにでもある地形ですけど、誰も説明してくれないようですね。
土石流の巨大礫

千足部落のはずれ。第3遷急点の上流で、河床が浅くなる。河原には、土石流による巨大礫が見られる。
大きな崖錐斜面

第3遷急点を過ぎて、谷がやや広がり、崖錘が発達。
 耕地と新しい集落が立地。
 住んでいるおばさんが、ツツジが奇麗と自慢。
谷斜面末端の小崖錐
 人物の前の小扇状地状の微小地形。扇頂部の上に小さな崩壊地がある。
植わっている杉より古いということになる。
支流の土石流扇状地

林道が扇状地面を切断
断面が見えている。
 
 第2遷急点  
 岩質がチャートになる所にあたり、傾斜も急変するので、体感度100%。 無名滝や天狗滝 がある。 
下の連瀑帯
 第2遷急点(区間)の最初にある瀑布帯。土石流の巨礫がかぶさっている。
 こうゆう冴えない滝も含めて、全部で遷急点(区間)である。
「無名滝」につく

 下の連瀑帯からきびしい登りになって、やっとこさ滝につく。
手前の岩は、根岩でなくて、なんと土石流の巨礫。
「無名滝」

上から見下ろし。
石井氏の苦心の合成。 
滝面は、線滝・急傾斜、円弧状滝面。
 滝壷は、滝壷モドキ。
「無名滝」
 滝面の移動


上から見下ろし。
石井氏の苦心の合成。 
 滝面の大きな縦の割目に沿って剥離して滝面ができている。画像の左手の大木の生えている溝が以前の滝面。滝の河道の移動と下刻が生じている例です。
「無名滝」

箱尺で滝の高さを測る。
箱尺の長さ5m。
「無名滝」

滝面の岩石を調べている。
ハンマーで叩くと火花の出る白色のチャート。
割れ目のところは細かく破砕されて、脆くなっている。
「天狗滝」

全景。1枚では入らないので、石井氏苦心の合成。
 
滝面は、線滝・急傾斜、円弧状滝面。
 滝壷は、滝壷モドキ。

ヤマメがたくさん居ました。放流したのではということになる。
「天狗滝」の下滝1

上から見下ろし。
手前の下滝1:線滝急傾斜、の下に、下滝2が見え、それがさっきの無名滝なことが形からわかる。 下滝1も箱尺で測定。
 滝面の灰色と白色の縞模様は、層状チャートの葉理。
参加者一同。
記念撮影。
滝高の測定
角度を測る。

度の下、10分オーダーまで測る必要がある。
「天狗滝」の上滝1

上から見下ろし。
天狗滝の上に、上滝が2つある。いずれもチャートを一生懸命削っている。
「天狗滝」の上滝2

上から見下ろし。
たったの1m。
小さいけど、滝が分裂して上流に向かって後退していく尖兵ということで重要。
「天狗滝」の上滝1

上滝1を見下ろしている所。
層状チャートがものすごく褶曲しているのがよくわかりますね。
「天狗滝」の上滝1

滝面の層状チャート
第2遷急点の遠望

千足沢の下流、払沢の出会い駐車場から遠望。

正面が千足沢の谷で、谷の中央に岸壁(高黒岩
という)があり、拡大すると天狗滝の水流が見える。
 滝の頂上から、下のV字谷底までが、第2遷急
点(区間)の部分というわけですね。
、谷左手から、中央の岸壁、右手の高まりへと、
チャート層が谷を横切る部分が、岩尾根や第2遷
急点になっていることがわかる。
侵食前線は、第2遷急点の頂上より高く、第1遷急
点ぐらいの高さらしい。
 
 第2遷急点〜第1遷急点 
天狗滝の上から綾滝まで。遷急点の上流で、谷が広くなり、土石流堆積物で谷が埋まり、崖錐も発達している。
谷が広い所は両岸がチャート。それより上流は、チャートと砂岩の境界の砂岩を河道が掘リ出している。
楽な所を選んでいるわけ。
その上の、第1遷急点(綾滝)は、河道が両岸チャートになってしまっているので、やむを得ず、掘っている所に
あたる。
砂岩の斜面下部の崖錐

川の右手の砂岩の斜面は、傾斜がゆるく、大きな崖錐が発達している。左手のチャートの斜面が急で、凸凹の露岩どっさり斜面になっているのと好対照。
「綾滝」
ずっと雨が降ってなかったので、さすがに濡れ滝になってました。
 線滝、円弧状、急傾斜。滝壷は埋まってます。
岩質はチャート。10mぐらい削り込んで後退している。
 人物の所は、埋まった滝壷。滝崖の部分に以前の滝壷の円磨された壁があることから、以前は深い滝壷がありその上面は4−5m以上上にある2段の滝だったが、下段が破壊されて現在の形になった。 「綾滝」の水神碑

 雨乞いが行われるとのこと。

「綾滝」のチャート斜面


右手が砂岩の斜面。左手が滝のあるチャートの斜面。
傾きと形がまるで違う。なお、写真では見えないが、以前は滝
であったと思われる円弧状の溝があり、この滝も無名滝のよう
に位置が水平移動しているらしい。
  その1 千足沢の記録 おわり。 次は、その2 払沢川の記録です。
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