滝巡り記録 その9                         もどる  つぎへ  もくじへ
 大柳川渓谷の滝を観る--予備知識--    作製
●1。大柳川渓谷のもろもろ
<大柳川の特徴>
 ○なんで大柳川渓谷か
 西沢の代わりに入ったら、予想に反して、天ヶ淵〜龍馬淵の本流瀑布帯が超立派だったので惚れ込んでこちらにしました。
 ここは、
 1。第三紀海成層の滝面の滝
 2。最新の遷急点と深い峽谷地形 という、房総とかなり似ている谷です。
 ・・海沢や徳和渓谷は違うなーという点が目立ちますが、大柳川渓谷は似ているなーという点が目立ちます。

○ 所在: 鰍沢町十谷 富士川水系の支流。
○ 地形図:地形図は20万甲府図幅の2.5万鰍沢と切石→買ってね
○ 山のほうでは、八町山、御殿山など。有名じゃないと思う。
○ 地質図;日本の地質4 中部地方 をもっぱら参照
○ 地質 : 火砕岩類を横断して流れています。地質は、中新世の巨摩層群と言われる海底に積もった火山         岩の地層が主。
○ 温泉:十谷温泉
○ 名物食い物:ホウトウの元祖 ミミ。美味しんぼにもでていました。 シソジュースも夏ならいける。 
○ 鰍沢町HP 
○ 宿泊 温泉旅館があります。
  大柳川の滝と地質

 
銚子口二段の滝
講師の傑作デジカメ写真
この滝は、本流の瀑布帯より2kmほど上流にあり、道がマイクロで行けるかどうか微妙なので、今回はいきませんが・・。
42mの滝で、・・いい滝ですね。雨が降って来てとりつけなかったので、それ以上のことは、わかりません。
 奥多摩の滝のように「美人だなー」という感じがしないところは、千葉に似ています。上流の櫛形山断層にそう断層線谷への懸谷。
 滝の名前と位置は御覧のとおり。
      国土地理院、標高データより作成  

 <大柳川の流域> 
 大柳川と養老川
 (千葉県)との
 川の概要値比較
 赤が大柳川
 天ヶ渕滝より上流
 
 黒が養老川
 粟又滝より上流 

大柳川は、南アルプスの前衛の櫛形山に続く山並みを東流しています。身延山のすぐ北といえばわかるかしら。
この川の滝は、支流懸谷の滝の不動滝(21m)や銚子口二段の滝(42mの巨瀑です))があり、川の中ほど、十谷付近に、天渕滝〜龍馬淵の連瀑帯と観音滝があります。

 滝のある、十谷までは、埋積された扇状地性の谷底ですが、不動の滝付近から峽谷になり、十谷付近に本流の遷急点(天ヶ渕滝〜観音滝)があるというわけ。
 支流の梨木沢、味噌根沢にもそれに対応する遷急点、それより古い遷急点があって、凄い滝の瀑布帯を作っています。
 天ヶ淵滝の地点からみると、上の図のように、流域の流長は8.3q、比高は1432m。
千葉県の養老川粟又滝の地点と大柳川の天ヶ淵滝の地点で比べると養老川は流長10.1km。比高255mです。
 遷急区間の高さはほぼ同じ30m、流長も大体同じですが、比高は6倍です
 
→大柳川は上流が急な川ではなく、むしろ緩い川といわれているから、養老川、ひいては、房総の川がめちゃくちゃ緩い川だということなのですが。
 流域形は、十谷のすぐ上流まで東西方向ですが、上流は南北方向になり、櫛形山断
層に沿った直線の谷になります。
2。大柳川の遷急区間と滝の成因と変遷
大柳川は、観音滝上に遷急点があり、比高100m+の遷急区間ができていて、
ソコン所に滝があります。


 大柳川の遷急点は、2万〜1万ごろから気候変化により河川が下刻を始めて、掘り込んでいる先端にあたります。

この遷急点は日本中どこでも見られるはずで、千葉県でもこの下刻の最後の3000年分ぐらいが、粟又滝を先頭とする養老川の下刻した渓谷などになっています。

 千葉県の粟又滝も、海沢渓谷の滝も、大柳渓谷の滝も、みな同じ時期に作られた、同期の桜であるというのは、いい視点ですよね。
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