滝巡り記録 その7 もどる つぎへ もくじへ | |
徳和渓谷の滝を観る--予備知識-- 作製 | |
●1。徳和渓谷のもろもろ | |
西沢渓谷を下見に行った時に、三富村役場の方に遊歩道ができましたよと教えて頂いたので、見に行ったのがきっかけです。 有名な西沢渓谷は、長々と歩かにゃならんので時間がかかるうえに、滝に取りつきがたいらしい。そのうえ、次のような、理由にならない理由もあって、めんどくなっている所で、徳和渓谷の下見に行ったら気に入ってしまった。 行ってみたところ、2大特徴がありました。 1。花崗閃緑岩特有の滝面の滝 一部、ホルンフェルスの滝もある 2。土石流で埋まった幅広の谷 という房総とはえらく違った谷ですので、決めました ○ 所在: 三富村(みとみむら)徳和 富士川水系笛吹川の支流。 ○ 地形図:地形図は20万甲府図幅の2.5万川浦です。→買ってね ○ 山のほうでは、有名な乾徳山、黒鉄山(くろがねやま)がある。 ○ 地質図;5万地質図 御岳昇仙峡 図幅及び説明書 ○ 地質 :徳和川の流域は、中新世の大平溶結凝灰岩とそれに接触変成を加えてホルンフェルス化させている甲府深成岩体の花崗閃緑岩です。 ○ 三富村HP---村長席からの眺めというのがある。必見。 ○ 宿泊 徳和や広瀬に旅館があります。 |
●2。徳和川の概要 ---水系、地質、遷急点など |
徳和川の滝位置図 | <徳和川の流域> 徳和川は笛吹川の支流で、流長9.8Km。流域最高は、遠見山北方の2240m峰。 本流との出会いの標高は630m。→流域の比高は1610m。 です。 流域の山は、遠見山2234m、乾徳山2016m 黒金山2231mなど。 千葉県の養老川粟又滝の地点で比べると・・ 養老川は流長10.1km。比高255mですから、徳和川は比高は5倍ですが、大体大きさは同じということになる。 ちなみに、大柳川渓谷の天ヶ淵滝の所とも大体流長が同じだが、比高は大きい。 滝のある夢窓滝は、流長4.9Km地点で、標高1010-1030mなので、比高は1230m。 流域形には、特徴はありません。 <岩質> 深成岩、火山岩類を横断して流れています。. 地質は、中新世の広瀬花崗閃緑岩、大平熔結凝灰岩、小烏花崗閃緑岩が主。 一部接触変成岩(ホルンフェルス)があります。 徳和の小盆地は川浦複合岩体がN30°E方向の破砕帯で破砕された部分にあたるようです。 長尾滝、夢窓滝がホルンフェルス、上流の瀑布帯は花崗閃緑岩ということになる。 |
徳和川の地質 | |
国土地理院1/20万図幅甲府より作成 |
●3。徳和川の遷急区間と滝の成因と変遷 |
< 段丘との関係から、大略こんなものかというと・・> 遷急点の成因:笛吹川流域には高位(比高60ー100m、武蔵野より古い堆積段丘)、中位(比高30ー40m、武蔵野ー立川期の侵食段丘)、低位河岸段丘(比高20m以下の侵食段丘)があり、笛吹川本流の一の釜〜三の釜、水晶滝や雷の不動滝は、2万年前以降の新しい河川下刻に対応した滝群と考えられます。 滝の位置は図のようですが、徳和の盆地より上流で、栃山の滝、夢窓の滝 とあって、その上は、長尾滝(支流の瀑布帯)、東西奥山窪という同じ大きさの分流地点に荒神〜柳滝の瀑布帯、愛染滝の瀑布帯があります。 これらの滝は、遷急区間の比高から、成因は中期段丘以降の河川の下刻によるものと思われます。、 多摩川などの大きな下刻に対して、笛吹川流域は下流の甲府盆地があるため河川の中流で堆積が起ってしまうので、多摩川に比べて下刻量が少ないようです。その分、遷急区間の比高も小さく、滝の規模が小さくなっています。 中位段丘以降、河川はずっと下刻か安定かで、埋積状態になったことがないようですので、2万年ぐらいかけて滝を作りながら下刻して来たとおもえば、全体を1つの瀑布帯の変化・移動と考えることもできます。 全体を1つの瀑布帯と考えると、中位段丘面の時代から下刻が始まり、遷急点が下流から徳和盆地を過ぎて登って来て、岩が硬くなっているホルンフェルス帯に栃山滝、夢窓滝を残してさらに上流に動き、現在その上の荒神滝、愛染滝、長尾滝の3つの瀑布帯が下刻の最前線にあたるということになります。 <もっと細かく言えないかというと・・・わからん> そうゆう、変化の中で、では、より細かく、中位段丘と下位段丘との違いに対応するような瀑布帯はどれかということになると、よくわかりません。徳和盆地の段丘(段丘化した扇状地のようですが)を調べて、それとの関係を付けないと分からないのですが、そこまでみてないです。→既に調べた人がいるかもしれません。論文探さなくっちゃ・・・。 普通に考えて、栃山滝・夢窓滝が下位段丘、荒神滝の瀑布帯が中位段丘に対応するということになるけど、あくまで予想です。 |
●4。参考にした文献 |
<地質> 1/5万地質図 御岳昇仙峡 図幅及び説明書. 地質調査所 日本の地質4 中部地方 |
滝巡り記録 その7 もどる つぎへ もくじへ |